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天然糸寒天製造報告
毎年12月から3月にわたって行われる糸寒天の製造報告です。
天然糸寒天製造報告 平成25年度(2013)
01 2013/12/04 初釜
02 2013/12/12 そろそろ冬本番
03 2013/12/17 恵那山の雪
04 2013/12/20 生天
05 2013/12/26 釜休み
06 2014/01/08 新寒天の完成
07 2014/01/15 ブルブル、ガチガチ、カリカリ、キラキラ、パタパタ
08 2014/01/22 晴れた日のアラレ
09 2014/01/28 冬の陽射しは柔らかい
10 2014/02/05 2月になって
11 2014/02/17 春はそこまで

01 2013/12/04 初釜

 天然寒天工場の製造は工場内の整備、釜の設置から始まる。いきなり「さぁ今日から炊きましょう」というわけにはいかない。11月下旬から準備が始まりまず釜を置き(画像a)その上に巨大な甑(こしき)(画像b)を乗せる。その後台船を設置して、ようやくいつもの見慣れた工場内の風景になる。言葉にすれば簡単だが入念な作業が必要である。その後工場の外では天出し、天日干しの準備。杭打ちをして棚場を作る(画像c)。この日は昔ながらの製造方法を守り続けている弊社工場を記録に残そうと取材のカメラが入っていた。
 準備が整い、天候を見ながら炊き込みの日が決まる。今週になって徐々に冷え込み始め、他の天然寒天工場は早いところで12月1日、弊社工場は12月3日が炊き込み開始、初釜となった。いよいよ今年も寒天製造の季節がやってきた。

(報告/専務 森田智治)

a 釜を置く

b こしきを乗せる

c 棚場を作る

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02 2013/12/12 そろそろ冬本番

 炊き込みを始めて早や10日。棚場にはすでに8日分の生天、寒天が並んでいる。今朝突き出された生天を手にとってみれば2重結びができるほどの出来映え。なかなかである。
 今朝の最低気温はー3度。日中の最高気温は3度とあまり上がらず、北風が吹く寒い一日となった。午前中は曇り、午後からは晴れ間が覗く天気。陽が差し始めると、積んであった寒天が広げられ棚場は寒天の白一色になった。とはいえ、ずらずらっと並んでいる寒天も表面は凍てが入っていてもまだ下まで完全に抜けていないところもあってもう少し時間がかかりそうである。気温が上がらない分、いつ凍てが入るか分からないため凍て取りが早い時間から始まった。始めのうちは生天の上にふられた氷片も溶けていたのが午後4時過ぎには徐々に凍てが入り始めた。今夜は晴れの予報。そろそろ冬本番となって欲しいところである。

(報告/専務 森田智治)

凍て取り

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03 2013/12/17 恵那山の雪

 12月に入ってから寒い日が続いている。今年は秋が短く冬がすぐに来るとのことであったが、まさにその通りだ。山岡の寒天の棚場からは恵那山が見えるが、すでに雪をかぶっている。恵那山に雪が降ると寒天の季節によいとのことだが、久しぶりに12月中旬で雪をかぶっているのを見た。それだけ、近年になく今年は冷えているのではと思う。
 日中は日が差しているので、割合暖かいが、夕方になると徐々に冷えこみはじめる。この日は16時の時点で4℃。明日は雨の予報なので通常は暖かくなるが、そういったことを考慮すると冷えているといえるだろう。
 各々寒天に注目すると、1号〜4号はすでにカガミの状態で20%程度乾燥しており、あと少しで野上となりそうだ。5号〜6号も20%程度乾燥しており、カガミの状態も間近だろう。7号〜9号は凍てが抜けているが、氷が残っている。10号〜11号は一部凍てが抜けておらず、下層には氷がかなり残っている。12号は表面のみ凍てが抜けており、13号は本日突き出したばかりで生天の状態である。始まったと思えば既に半月。テングサを炊く条件をすばやく検討しつつ、上質の寒天を製造していきたいところだ。

(報告/常務 森田尚宏)

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04 2013/12/20 生天

 寒天製造が始まって凍てが入るくらいの冷え込みはあるのだがガツンとした冷え込みはまだ来ない。特に今週は2日ばかり雨降りの日が続き、凍てさえも入らず生天が4日分ほど溜まってしまった。野上げ間近の寒天もあるのだが、日中スカッと晴れる日も少なく棚場が早くも詰まってきてしまった。
 やれやれクリスマスから年末にかけての寒波に期待するしかないか。

(報告/専務 森田智治)

生天の棚場

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05 2013/12/26 釜休み

 寒天製造には欠かせない条件がいくつかある。まずは生天を突き出し、寒天を干し上げる場所。約20日分の棚場が必要になる。天候面では夜間に生天が凍結するほどの寒さが必要。そして日中は凍結した生天が融けて乾燥するだけの暖かさ。寒過ぎてもいけない。ましてや日中暖かいだけでももちろんいけない。寒いことが条件とはいえ日照時間が短い豪雪地帯はこの条件に当てはまらない。ここ恵那市山岡町はこれらの条件が兼ね備わった場所ということで昭和初期から天然寒天の製造が行われていた。まさしくうってつけの地域なのだが、今年は何だかちょっと様子が違う。1週間ほど前まではなかなか凍てが抜けず困っていたのが今週になってガツンと3日連続で強い冷え込みがあってしっかり凍てが抜けた。やれやれこれで一安心かと思いきや、今度は日中晴れの時がない。晴れたかと思ったらすぐ曇ってしまう日が多い。せっかく凍てが抜けても乾燥が進まないと野上げができない。いわゆる棚詰まりである。というわけで弊社工場は炊き込み休みをはさみながら正月を迎えることになった。他の寒天工場も同様で遅かれ早かれ釜休みが入るようである。

(報告/専務 森田智治)

凍てが入った生天

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06 2014/01/08 新寒天の完成

 正月休みもあけ、釜炊き再開である。1月に入ってからも寒い日が続いており、本日の最低気温は−10度。凍てにはもってこいの冷えである。ただし日中は暖かく、12時の時点で11度。16:00になっても8度であった。朝晩が冷え、日中が暖かいというのは寒天づくりには良い。朝晩で生天が凍り、日中に乾燥されていくからである。しかし、このところ冷えすぎているようで、暖かい日中でも氷が完全に溶けていかないようで、乾燥は若干遅れ気味だ。
 12月上旬に炊いた1号〜10号はほぼ乾燥しており、野上しても問題ない。中でも4号〜9号は十分乾燥した為、新寒天完成といえる。選別・梱包すれば新寒天として出荷可能である。今回は4号、8号、9号を選別・梱包していくこととした。
 11号から21号は乾燥状態がまちまちであり、20%程度しか乾燥していない個所もあれば、90%程度乾燥している個所もあった。野上にはあと1週間から2週間程度と思われた。22号から24号は50%程度の乾燥であり、野上には2週間程度と思われた。
 乾燥は遅れ気味だが、棚場に空きがなくなって棚詰まりとなるは問題なさそうだ。新年があけたと思えばすぐに1月中旬、下旬となり2月となる。2月になると寒天の製造は終盤になるので、今が寒天製造の最適期といえる。緊張を保ったまま、製造に取り組んでいく。

(報告/常務 森田尚宏)

寒天棚場

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07 2014/01/15 ブルブル、ガチガチ、カリカリ、キラキラ、パタパタ

 1月も半ば。寒中お見舞い申し上げます。さすがに寒の内というだけあって朝晩の冷え込みは半端ではない。ブルブル。連日のように最低気温はー10度前後まで冷え込み、順調すぎるほど凍ては入っている。生天が一日の凍てで写真のようにガチガチの「鬼氷おにごおり」状態に変わってしまうほどである。もっともこれだけ凍ると今度は溶けるのに日数がかかって厄介なのですが。
 そんな鬼氷状態の横では12月に天出しされた生天が凍結解凍を繰り返しカリカリに乾燥した寒天になって出来上がっている。冬の陽ざしを浴びてキラキラと棚場で寒天が白く輝いている光景は見ていて気持ちがいい。写真はパタパタと簾の上で4段に天出しされた寒天が折りたたまれて野上げされている風景である。
 欲を言えばもう少し日中の陽ざしが降り注いで欲しいのだが、ぜいたくというものか。

(報告/専務 森田智治)

鬼氷の寒天

野上げ

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08 2014/01/22 晴れた日のアラレ

 1月は寒い日が続いており、11時の時点で3度。今日は吹く風も寒く、棚場の地面も凍ったままである。このところ天候は安定していない日が多く、晴れていたと思えば突然雪やアラレが降ってくることがある。乾燥しかけている寒天に雪やアラレが降り積もると、湿気を帯びてしまう為、こういった天候の変化には即座の対応が必要だ。この日も晴れていたと思っていたら、アラレが降ってきた為、即座に寒天にシートをかぶせて、降り積もらないようにした。
 冷えが強いとはいえ、新寒天は続々と乾燥して野上げされている(写真)。棚場にも空きはあり、棚詰まりの心配もなさそうだ。野上げされた寒天は日の光に照らされ、薄黄色に光ってなかなか綺麗である。その後、寒天は精選・梱包されて、新寒天として完成し、和菓子屋様等へ出荷されていく。
 31号までは大凡野上げ可能な状態であるが、まだ乾燥していない個所もあった。日の当たり加減で乾燥状態が変わってくるためと思われえる。全て乾燥すれば、2朝分は棚場が空くだろう。現状で2朝分は空いているので、合計4朝程度の棚場は確保できるであろう。32号〜36号はまだ乾燥が不十分であり、完成には1週間から2週間はかかるのではと思えた。
 この冷えが2月まで続けば寒天の生産量も増える。2月も冷えを期待するところである。

野上げ@

野上げA

野上げB

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09 2014/01/28 冬の陽射しは柔らかい

 日々是好日とでも言えばいいのか、朝晩の冷え込みで凍ては入り、日中は晴れて気温は上がり乾燥が進む。寒天日和という言葉があればこの1週間はまさしく寒天日和である。棚場では凍てが抜けたあと、より良く乾燥させるためにかがみに落とされた乾燥前の寒天が並んでいる。今朝も冷え込み、前日天出しされた生天も凍てがほぼ抜けている。棚場は2週間ほど前とはとは大違い、余裕ができている。このような天気が続けば今度は野上げに追われて倉庫は荷造り前の寒天であふれかえることになる。まだ立春には日があるとはいうものの春を思わせるぽかぽか陽気の一日であった。
 あとはいつまで炊き込みをするかお天気と相談。

(報告/専務 森田智治)

かがみに落された棚場

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10 2014/02/05 2月になって

 前線が近づいている為か、今日は割合暖かく、12:00の時点で5度。空には厚い雲が立ち込め、気圧も急激に下がっているようだ。そう思っていると、突然の大雨。棚場に駆け込んで、寒天にシートを被せて濡れないようにした。寒天は天候に左右されやすいが、今年は特にそう感じる。
 2月に入ると、陽気も暖かくなり、中旬にもなると寒天は焼け始めてくる。今が終了時期を検討する時期だ。早く終了すれば、寒天も焼けることはないが、生産量が減少してしまう。暖かくなるギリギリまで天候を見極めて生産したい。
 棚場に行ってみると5朝分くらいは空きがあり、棚詰まりの心配はない。しかし、ここ数日は乾燥が進んでいなかったり、凍てが入りにくかったりしている。40号〜44号はまだ50%程度しか乾燥しておらず、45号〜48号は完全には凍てが入っていない。49号〜52号は生天のままであった。1月は冷えて乾燥していたが、ここ数日は若干寒さも緩んでいるようだ。
 夕方になると、いつの間にか青空が見え始め、乾燥した冷たい風が吹いてきた。今日からまた冷え込む予報。この冷えで凍てが入ることを期待する。

(報告/常務 森田尚宏)

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11 2014/02/17 春はそこまで

 先々週に引き続き先週末も大雪。日本全国で大混乱を引き起こしたのは周知のとおり。ここ山岡も例外にもれず積雪。幹線道路には雪は消えているものの棚場はまだまだ雪が残っている。凍てはこの寒さで入るのはいいのだがいかんせん雪かきをしながらの作業はいつもに比べて手間取って仕方がない。
 日に日に陽ざしが強くなってくる2月、天然寒天製造も終わりの季節を迎える。早いところでは13日に炊き込み終了したところもあり棚場の片づけを始めている。弊社工場は本日17日をもって炊き込み終了。去年より二日遅い炊き込み終了日となったが製造日数は去年と同じ。炊き込みが終わったあとは釜あげ、棚場の片づけ、荷造り梱包とまだまだ仕事は続く。
 この先も冷え込みが続きまだまだ製造ができそうだがほころび始めた梅に春はそこまできていることを感じる。

(報告/専務 森田智治)

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