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天然糸寒天製造報告
毎年12月から3月にわたって行われる糸寒天の製造報告です。
天然糸寒天製造報告 平成19年度(2007)
01 2007/12/02 新寒天製造開始
02 2007/12/06 凍て
03 2007/12/13 伊豆大島100%の寒天はじまる
04 2007/12/18 炊き込み順調
05 2007/12/26 本日冷え込む
06 2008/01/04 新年おめでとうございます
07 2008/01/08 伊豆諸島原料100%寒天の野上げ
08 2008/01/15 一気に冷え込む
09 2008/01/21 寒中お見舞い申し上げます
10 2008/01/29 好調
11 2008/02/04 アラレ
12 2008/02/18 まだまだ寒し!
13 2008/02/26 早春賦


01 2007/12/02 新寒天製造開始

 今秋、気温が高めで推移していたが、11月の下旬以後、北日本の寒さが本州中部にもおりてきて天然寒天製造の天候状況になってきた。
 岐阜県での天然寒天では今年の製造釜数は12工場で、昨年の13工場から1工場減となった。経営者の高齢化と後継者難が影響している。12工場の内、冬場だけの天然工場は4工場である。
 価格面では各工場とも昨年来の高値原料の持ち越しもあるが、今年のてんぐさ状況が安値に推移したこともあり、製品価格は昨年価格近くへもどりそうな形勢である。
 弊社では12月1日に初釜開始となり昨年と同日となった。天候状態さえよければ2月20日までくらいの操業を計画している。田圃一面に杭をうち、棚場を用意して3日の天出しに備えている(写真上)。温度は12月2日午後3時では3℃、午後8時で2℃となっている。今後、晴れれば零下まで下がっていく。
 また新しい試みとして今年の「てんぐさ報告」05 2007/06/01東京都第2回入札会21 2007/10/18東京都第6回入札会で挙げたように伊豆産てんぐさ100%原料の糸寒天の製造を計画している(写真下)。
 東京都漁連からの依頼の糸寒天ではあるが、通常販売も計画しているので製品化されたらこの欄でアップしていく予定である。

準備ができた寒天の干場

倉庫内に積まれた伊豆天草

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02 2007/12/06 凍て

 今朝は−5℃まで下がり、恵那山に雪が降った。昨年は冷え込みが弱く中々恵那山に雪が積もらなかったが、今年は12月早々、恵那山に雪が降り白くなった。今年は冷え込むと期待でき、良い寒天のシーズンの到来を感じた。
 突き出された棚場の生天はやはり今朝の冷えでカチカチに凍った。昼近くになっても気温は6.5℃と寒く凍ったままであったが、太陽に照らされていると、次第にポタポタと生天から水分が抜け落ちていった。良く冷えた後の快晴は白い寒天ができると期待させ、幸先良いスタートであった。凍ては完全に抜けてはいなかった(完全に凍ってはいない)が、今日も冷え込むということであったので、それほど心配していない。釜場では昨日炊き込んだ天草は釜からフネに汲み出され、生天ができあがった。確認用の生天の感触は弾力があって中々良い生天であった。酸の具合も丁度良かった。
 17:00になると辺りは暗くなり、今日突きだした生天の凍ての準備に入った。18:00になると星が綺麗に見えはじめ、気温は更に低くなって1.5℃となった。生天も凍てとりに良い状態となってきたので、肩に角氷を担いで凍てとりに入った。棚場にはいつも通り、カリンカリンという氷を削る音が響き渡った。

(報告/研究室長 森田尚宏)

棚場の寒天

フネへの汲み出し

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03 2007/12/13 伊豆大島100%の寒天はじまる

 先週までは気持ちよい日が続いたが、今日はあいにくの雨であった。生天が雨に濡れないようにまとめてビニールで覆っておいたが、やはりこの時期は棚場一杯に広がるにぎやかな製造風景の方が気持ちがいい。天気予報では今週末は冷え込むとのことなので、そこで凍てが抜けきれることを期待している。
 伊豆大島産てんぐさ100%原料の寒天を今週から製造開始した。伊豆大島産のみでは初めての試みであるので製造はなかなか緊張する。もともと上質な天草なので、できあがる寒天もゼリー強度や粘度が高く上質なものが期待できる。しかし、その分炊き込み方を適切にしなければならない。適切な炊き込みでなければ、炊き込み後の絞りに時間がかかってしまったり、寒天分が天草に残り、歩留まりが悪くなってしまうからだ。
 実際に製造してみるとやはり中々苦労する。毎日、釜のカエリ(文末※参照)と煮汁の絞り具合、生天のゼリー強度、融点を確認しているのでそれを元に条件を決めていく。今日はこれまでの炊き込み方(火の強弱、時間)、天草投入量と釜水量のバランス等をチェックして頭領(釜を炊く工場の責任者)の長年の経験から各条件を決めた。
 天草を炊き込んでしばらくすると釜は十分に熱を持ち炊きあがった。火を止めて釜のカエリを待つと、2分後、大きな湯気が釜蓋のすき間から横へ勢いよく吹き出た。その後も2分間隔で大きな湯気が吹き出された。十分にカエリが行われたことが目に見えて分かった。「大きくて気持ちの良いカエリだな」という安堵の声も出た。次の日、絞りを確認すると良く絞れ、やはり炊き込み条件が適切であったと思った。

※カエリ:釜から湧き出る湯気の状態で天草の煮えの状態を確認すること
*長野県諏訪地区の角寒天の製造も9日釜入れ11日の天出しで、大部分、開始された。今年は19業者21工場の操業、昨年比10%減の150トンの生産を見込んでいる。

(報告/研究室長 森田尚宏)

釜投入直前の伊豆大島産天草

雨の棚場

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04 2007/12/18 炊き込み順調

 これまでの検討が実り、このところ東京都の天草の炊き込みは順調である。今日は天草を釜へ投入した後、約45分で沸騰し、火を止めた後も2分毎に大きな湯気が釜蓋の隙間から勢いよく出たのでカエリは良好であることが目に見えて分かった。一晩おいてのダイフネへの絞りも特に問題はなく、上質な生天ができることを期待した。
 ただ条件が決まったからといって安心は出来ない。天草の質は完全に均一ではなく、毎回同じ炊き込み方で同様に炊きあがることはまず出来ないからだ。常に天草を確認し、丁寧に作業をし、釜の炊きあがり状態を確認していく。同質な寒天にしていくことは頭領の腕の見せ所である。
 棚場の生天はこのところ曇りや雨が多い為、凍てがなかなか抜けきれない。初めの号数の生天は凍てが抜けたが、まだカガミ・カイテンするには至っていない。今日は肌寒いがシビヒエといって湿気の為に寒く感じるだけである。上を見上げると雲間からは青空が見えたのでこれから冷え込むことを期待した。

※ カガミ:凍てが抜けた後、簀を斜めにして日光を当たりやすくし、乾燥させること。
※ カイテン:カガミの後、上下を逆さまにして更に乾燥させること。

(報告/研究室長 森田尚宏)

釜からの湯気で煮熟が分かる

釜場から炊き上がる湯気

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05 2007/12/26 本日冷え込む

 昨晩は晴れた為、今朝は一気に冷え込みマイナス4℃近くまでいった。12月に入ってからも中々冷え込みが無く、凍てが全部入りきらなかったが、おかげで一気に凍てが抜けた。年末から1月にかけても冷え込むとの予報が出ているので、このあたりで一気に寒天を仕上げていきたい。
 初めの頃に炊き込んだ生天もかなり乾燥しており、あと1週間から2週間で野あげ(※)の状態となりそうだ。カガミの状態となった生天(写真上)もかなり多くなり、ようやく製造は軌道にのってきた。
 しかし棚場自体はここ最近の陽気の為、棚詰りとなってしまい、今日は炊き休みをした。今の状態では年内6日の炊き休み予定である。一昨年もやはり暖冬で年内7日休んでいる。また新天の野上げ作業も昨年と比較して遅れており(昨年は12月27日)、新寒天の工場からの出荷も1月初旬が微妙なところである(昨年は1月5日)。
 他の工場も同じような状態で苦労している。
 一方、サンプルで確認したゼリー強度試験では良好な結果が得られており、炊き込み条件は良く、上々の仕上がりである。

※野あげ:乾燥した生天を簀と一緒に折り畳んで重ねて集めていく作業。

(報告/研究室長 森田尚宏)

カガミとなった生天

乾燥間近の生天

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06 2008/01/04 新年おめでとうございます

 年末から年始にかけての天候は天然寒天製造にとって予想より良く推移した。2日は零下7℃まで下がって年内に天出しされた生天は全部凍った。また日中の天気も日差しが射し乾燥も進んだ。
 ようやく製造も順調に回りはじめたところである。各工場も同様な様子である。
 日経新聞の5日の朝刊に気象庁の昨年12月天候まとめの発表が出ている。それによると
「12月は冬型の気圧配置になる日が少なく気温は高めで、気圧の谷の影響で降水量が多かった。−中略−地域別の平均気温は、北日本は平年並みだったが、東日本で0.9℃、西日本は1.3℃、平年を上回った。」としている。
 寒天の製造には冷えることは勿論必要ではあるが、天気のよいことが非常に重要である。
今時期であれば夜間晴れていれば翌朝零下5℃以下にはなってくるし、日中は乾燥が進んでうまく回転していくことになる。写真は1月4日午後3時ごろの棚場の様子である。
 今後の天候が順調なこと願っている。

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07 2008/01/08 伊豆諸島原料100%寒天の野上げ

 年末から年始にかけての寒気で大部分の生天に凍てが入った。寒天の乾燥の具合もかなり進んでおり、あと数日で野上げして梱包出来る状態である。しかし、今日は日中暖かかく、また天候も雨がふったりやんだりであった為、干している生天にブルーシートを掛けたり、外したりした。せっかく乾燥しても再度湿っては意味がなくなるからだ。早く天候が回復することを望む。
 新年からは伊豆諸島原料100%の寒天をカットする為、野上げされた寒天を精選・カットする作業所へ移動させた。屋外で乾燥させる寒天において、精選は重要な作業工程である。全て手作業で除去していく大変な作業であるが、良質の寒天を仕上げて行くには欠かせないことである。今回、精選・カットする寒天は210kg程度であったが、野上げされ次第、順次精選・カットしていく。ただし冬らしい日中は晴れて夜は冷え込むという天候にならないと寒天は完成しないので、一にも二にも天候の回復を望むばかりである。
 夕方になると徐々に冷え込んできたので凍てをとりはじめたが、このところ夜が更けるにつれて曇って気温が下がりきらない日が多い。今晩は冷え込んで欲しいと願った。


(報告/研究室長 森田尚宏)

伊豆諸島産の寒天

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08 2008/01/15 一気に冷え込む

 この3連休の寒気でなかなか凍てが入らなかった生天にも一気に凍てがはいった。乾燥させていた生天も順次野上げされており棚場にも余裕でてきている。この寒気は今週一杯居座るとの予想なので、今が製造のチャンスである。ただ急激な冷え込みによるシビには気をつけていかなければいけところである。
 伊豆諸島産天草の炊き込みも今日で終了する。初めは煮熟条件がなかなか確定しなかったが、要領を把握してからは順調に製造できたといえる。後は精選して出荷するのみだ。
 明日からは通常の配合で天草を炊き込んでいく。伊豆諸島産の天草とはまた炊き込み方が異なるから、炊き込み条件を再度検討する必要がある。このところの寒気で凍ては問題ないが炊き込み方はこれまでと全く異なる。同じ天草といえども産地が異なればノリの出具合が全く異なるし、産地が同じでも、それぞれに個性があるので炊き込み方は毎回異なる。カエリや絞り等をよく観察し、一日でも早く炊き込み条件を確定したいところだ。


(報告/研究室長 森田尚宏)

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09 2008/01/21 寒中お見舞い申し上げます

 一年で一番寒いと言われる、今日は大寒。「寒い!」と言いたいところだが昨夜からの雪が少し残ったため今朝の最低気温は−1℃。寒天の里、山岡ではこの時期にしては暖かい(?)朝となった。とはいえ前日までの冷え込みで「凍て」はしっかり入っているし日中の晴天のおかげで野上げも順調。寒天日和が続いている。出来上がったばかりの寒天は色も白くつやもあって、まさしく新米ならぬ新寒天である。
 生天を突き出す棚場も余裕ができ、しばらく棚詰まりの心配をしなくてすみそうである。
 1月も半ばを過ぎると天然寒天の製造も後半に入る。例年通りでいけば残り約1ヶ月の製造期間を残すのみ。このまま順調に冷え込む天気が続いてくれるのを祈るばかりである。
 また東京都伊豆諸島100%原料の寒天も順次野上げ、荷造り、精選と進み出荷の準備が整ってきた。
 当社でもインターネット販売を予定している。


(報告/専務 森田智治)

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10 2008/01/29 好調

 1月に入ってからは例年通り冷え込んでおり、順調な仕上がりが続いている。昨年12月は冷え込みが弱く、凍てが入らない日が続いた為、相当の減産を懸念したが、ここに来て持ち直した。棚場にも余裕があるので、この機を逃さず製造していく。2月も引き続き冷え込むことを期待する。
 現在は伊豆諸島産の天草の炊き込みが終了し、通常の配合で炊き込んでいる。炊き込み条件も変わるので緊張するところであるが、そこは熟練の頭領、問題はなく順調に仕上がっている。本日のカエリも大きく、ゼリー強度の高い寒天が期待できた。あとは急激な冷え込みによるシビや黄色く色が付くヤケに気をつけるのみである。
一方、「東京かんてん」もカット・精選・梱包が波に乗ってきており、こちらも順調である。


(報告/研究室長 森田尚宏)

カット前の「東京かんてん」

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11 2008/02/04 アラレ

 今日は強い寒気が本州に滞在し、広範囲で降雪があった。山岡でも例にもれず、棚場一面、雪が積もっていた。まだ大気は不安定なようで、日中でも黒い雲が現れたと思ったら、アラレが降ってきた。首都圏は大混乱ということであったが、山岡でも車を運転するときは気をつけなければいけないところだ。
 天草の炊き込みは上々で、変わらず特に問題ない。煮熟後のカエリや、煮熟した天草の絞り状態、生天の融点、ゼリー強度を確認しても、上々である。
 一方の棚場もまだ余裕があり、炊き込んでどんどん冷凍・乾燥させていくことができる。2月半ばになると日中の気温も上がりはじめ、ヤケ天になりやすいので、今の内に製造していきたいところだ。今でも油断するとヤケてしまうので、水を生天に撒いてヤケの防止に努めなくてはならない。一方で寒い日が続いているので、シビにも気をつけていかなければいけないところだ。
 乾燥した寒天は順次、野上げされ順調に仕上がっていく。だんだんと増えたので、精選作業の方も忙しくなりそうである。


(報告/研究室長 森田尚宏)

雪の中の寒天

丁寧に野上げしていく

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12 2008/02/18 まだまだ寒し!

 この時期に白くなった恵那山を見ることができのは珍しい。2月になっても強い寒波が幾度か到来した為である。この冷え込みはもう少し続きそうなので、生産日程も練り直して2日増やすことにした。
 日中も寒いが好天が続いており、白い綺麗な寒天がどんどん野上げされていく。棚場にも余裕が生まれてくる。近年ではこの時期に白い綺麗な寒天ができるのは珍しいが、嬉しいことだ。棚場を回っていても、耳を澄ませばパキパキと寒天が乾いていく音も聞こえ、なかなか心地よい。
 一方で確実に日照時間は長くなっている。これまでは凍てをとる時間(16時〜19時)になると暗くなっていたが、今はまだ明るい。寒い日が続いているが着々と春に近づいている証拠だ。
 あともう一頑張り、良い寒天をつくっていこう。

(報告/研究室長 森田尚宏)

澄んだ空の白い恵那山

明るい内からの凍てとり

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13 2008/02/26 早春賦

「春は名のみの風の寒さや」2月に入ってから急に冷え込みが厳しくなり、太平洋側でも積雪を記録するなど1ヶ月季節がずれたような感覚になってしまう。とはいえ、やはり陽射しは日に日に強くなり先週末には春一番が吹き荒れ、春が近づいてきたことを知らせてくれる。
 天然寒天の製造もこの時期、終わりの時をむかえる。当初の予定よりも2日間延長し、当工場では2月24日の炊き込みをもって終了。製造日数は去年と同じ76日となった。
 地球温暖化の影響なのかどうかはわからないが一昔、二昔前は85日近く製造していたことを思えば隔世の感がある。
 今シーズンの特徴は、12月は比較的暖かい日が続き「釜休み」もあったが年が明けてからは順調に冷え込み天候に恵まれたことである。
 確かに今朝の最低気温は−9.5℃、「凍て取り」は夕方5時半過ぎに完了。まだまだ製造できるかなと未練を残す一日であった。と思うかたわら、寒天を受け入れることのなくなった棚場の片付けが徐々に始まり、のどかな春の風景に変わっていく。


(報告/専務 森田智治)

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