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てんぐさ入札会報告
毎年6月から10月にわたって行われるてんぐさ入札会の報告です。
てんぐさ入札会報告 令和3年(2021)
00 2021/03/31 令和2年度てんぐさ概況
01 2021/03/11 静岡県第1回入札会
02 2021/06/23 徳島県第1回入札会
03 2021/07/08 静岡県第2回入札会
04 2021/07/12 愛媛県第1回入札会
05 2021/07/15 東京都第1回入札会 

00 2020年(令和2年)(2020.1~2020.12)てんぐさ概況

 2021.(令和3)3.31全国のてんぐさ入札(生産)量

以下の表は、2020年(令和2年)の年別テングサ生産数量(入札数量+入札外数量)です。

産地\年 令和2年
2020年
令和元年
2019年
平成30年
2018年
平成29年
2017年
平成28年
2016年
平成27年
2015年
平成26年
2014年
東京都 40 35 34 42 35 44 52
静岡県 41 48 69 90 110 111 106
三重県 3 4 8 11 11 8 8
和歌山県 14 19 16 14 12 9 12
徳島県 34 36 36 31 36 26 45
愛媛県 88 103 114 135 118 149 160
高知県 3 9 13 9 16 11 29
長崎県 5 5 4 6 13 20 13
上記産地計 228 259 294 338 351 378 425
全国生産量 429 458 411 471 563 486 510

(単位:トン)株式会社 森田商店 調べ R3(2021)/3/31

 2020年は11月19日の東京都第3回入札会で終了したが一年を通じて異常な年となった。
 全国の生産数量は入札数量と入札外数量で429トンになった。2019年は458トンだったので6.3%減となり2年前と同程度の少ない生産量となった。
 一部産地(東京都、兵庫県、大分県)は微増となったものの他の地域では前年を下回る結果となった。
 2020年の1月、2月が記録的な暖冬で水温が高く推移し、黒潮の大蛇行とあいまって(天草の着床に適した13℃より高いこと、また黒潮の栄養塩が低いこと)不作が予想されていた。
 2019年千葉県房総半島では150トンほどの水揚げがあり2020年も同程度の151トンとなり他地域の減産をカバーした。
 採取時の天候状況では4月から6月までは採取して乾燥させるのに好都合な天候が続いたものの7月は記録的な長雨(「令和2年7月豪雨」)に影響され採取が止まることとなった。また、8月は酷暑の日が続きこれも浜で天草を乾燥させるのに厳しい作業を強いられることとなり減産に拍車をかけた。
 また、2020年2月から始まった新型コロナウィルス蔓延により4月からの都市部緊急事態宣言は高級魚介類の消費が減り、浜では天草採取の意欲が高まったものの大きな増産とはならなかった。しかも新型コロナウィルス騒動の行動自粛から天草を使った寒天原料の菓子類(羊羹など)の大きな消費減があり天草は減産であるにもかかわらず価格面では下げることとなった。
 一方、輸入に関してみれば韓国は3年間の高値買付契約が2019年に終了し2020年には新価格帯で動き始めた。2020年は260トン、価格は前年比25%安の1,050円/kg(前年は181トン1,398円/kg)であった。また、最大輸入国のモロッコからは2020年は569トン510円/kg(前年は802トン581円/kg)と数量減と価格下落がみられ、先安を見込み当面の輸入量が抑えられている。
 今年のテングサ状況をみるに最大産地となった千葉県房総半島では今のところ昨年同様の動きがみられ相当量の収穫が予想される。
 また、今冬の天然寒天(長野県・角寒天、岐阜県・細寒天)生産は前年のような暖冬ではないものの不安定な天候状況と新型コロナ影響下での寒天製品の販売不振もあり、予定の生産に至らず終了した。結果、前年同様繰り越しのテングサが多くなっている。
 首都圏始め各地の新型コロナ対策緊急事態宣言の解除(令和3年3月現在)もあるが、未だ警戒も続いている。
 早く終息して活況に転ずることを願うばかりである。

*輸入統計は財務省貿易統計より、価格はCIF(保険料、運賃込み)

(報告/社長 森田庄次)

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01 2021/03/11 静岡県第1回入札会

 静岡県第1回入札会が3月上旬に開催された(3月11日)。例年は2月中旬に開催されているが、今回はコロナウイルス感染予防の一環で3月に実施された。毎年4月に開催される入札会も昨年に続き開催されず、次回は7月に開催予定である。
 出品量は6,875kgと、昨年の第1回入札会と比較して2%増産した(2020年2月19日;6,751kg)。ただし昨年は出品量が少なく、過去5年でみると減産傾向である(2016年第1回入札会=17,225kg、2017年第1回入札会=15,950kg、2018年第1回入札会=8,650kg、2019年第1回入札会=7,200kg)。内訳は仁科産テングサが5,950kg、安良里/宇久須/小下田産テングサが925kgであった。
 本入札会は全国の中で最も早く開催される入札会である。この為、今年の相場動向を左右する重要な入札会となる。因みに昨年の静岡県入札会のテングサ相場は、他の入札回とは異なった相場動向を示した。これは静岡県入札会で出品されるテングサが伊豆産テングサであり、ブランド品の為と思われる。
 入札されるテングサを実際に確認したところ、良好な状態であった。等級毎に様相は異なり、カキやフケが多いテングサもあったが、相応の価格で落札できれば様々な使い道が考えられた。等級は生産者や組合の判断に委ねられる為、等級が同じでも様々な様相をしており実際に確認する必要はあった。
 入札業者は7社。内、FAX入札は2社であった。大減産した昨年と同等量の為、落札価格が安値になるとあまり期待できなかった。しかし、コロナウイルスにより経済活動が縮小しているのか、入札業者にも強い購入の傾向は感じられなかった。実際、開票されてみると昨年よりも落ち着いた価格で落札された。次回静岡県入札会は7月8日の予定である。

(報告/常務 森田尚宏)

黄金崎

黄金崎より

仁科漁港


入札会場

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02 2021/06/23 徳島県第1回入札会

 徳島県第1回入札会が昨年度同時期の6月中旬に開催された(6月23日)。出品量は4,377kgと、昨年の第1回入札会と比較して19%の大減産である(2020年6月25日;22,960kg)。原因は明確ではないが、昨年の12月末〜3月末迄、徳島県北部海岸地域(鳴門〜阿南中央)で珪藻類(Eucampia)が確認されており、栄養塩が珪藻類に摂取された可能性がある。栄養塩が減少した為、他の海藻類の生育が悪くなった可能性がある。南部海岸地域での珪藻の確認は実施されていないが、同様の事象が発生していると考えられる。
 出品量が少ないのは徳島のみの傾向ではない。静岡県入札会は、例年6月末迄に3回(2月4月6月)開催されているが、今年は1回のみ(3月:7月開催予定)、大分県入札会は例年6月末迄に2回(4月6月)開催されているが、今年は1回のみ(4月:7月開催予定)、淡路島入札会は例年6月末迄に2回(5月6月)開催されているが、今年は7月に第1回入札会が予定されているのみである。
 前日から徳島県漁連に出張して実際にテングサの様相を確認した。今回、顕著に例年と異なっていると感じたのは北部海岸地域のテングサであった。この地域のテングサは、通常カキが多く付着してしまうが、今回はカキの付着が少なく綺麗であった。カキの付着は石灰藻が関与するが、栄養塩が少ないと石灰藻の生育も悪くなり、カキの付着も少なくなると考えられる。上記の様に珪藻類が発生して栄養塩が少なくなっている可能性が示唆された。他地域でも例年よりカキの付着が少なく綺麗なように感じられた。ただし、枯葉等の異物があったり、フケが多く付着している銘柄もあったりしたので、こういったテングサについては異物除去をしっかりしてほしいと思う。
 入札業者は8社。内、FAX入札は1社であった。今回は昨年の19%と大減産である為、入札価格には頭をなやませた。先に開催した入札会(静岡県入札会・大分県入札会)は落ち着いた価格をみせたが、今回は異なると考えられた為である。実際開票されてみると、想定した価格よりもかなりの高額落札となった。7月に入ってからは大分県・淡路島・静岡県・愛媛県と立て続けに入札が続く。特に愛媛県入札会には今回の徳島県入札会の落札価格が大きな影響を与えると思われた。

(報告/常務 森田尚宏)

淡路島から鳴門海峡と鳴門大橋を望む。夏の気配を感じる

徳島県入札会場(2021.6.23)例年(下写真)よりもかなり少ない

昨年の徳島県入札会場(2020.6.25)

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03 2021/07/08 静岡県第2回入札会

 静岡県第2回入札会が昨年と同時期の7月上旬に開催された(7月8日)。出品量は8,365kgと、昨年同時期の入札会と比較して133%の増産である(2020年7月9日;6,296kg)。今回迄の累積出品量でも15,240kgとなり、昨年同時期迄の累積出品量と比較して117%と増産した(2020年7月9日迄:13,047kg)。しかし、長期的にみると減産傾向であり、過去5年で最も多かった2016年と比較すると25%であった(7月迄の累積出品量:2016年60,813kg、2017年45,225kg、2018年25,490kg、2019年25,400kg、2020年13,047kg、2021年15,240kg)。全国的にも生産量は減少しており、徳島県入札会は昨年の19%、兵庫県(淡路島)入札会は昨年の44%である。
 昨年の静岡県入札会での出品量減産については、海水温と出品量の関係について解析を実施している。その結果、やはり黒潮の蛇行が影響している可能性が高いと推測された(※)。今年もその可能性は高いと推測される。因みに今年の徳島県での減産は珪藻類の発生によるとのこと。珪藻の発生と黒潮の蛇行についての関連性を検討しても良いかもしれない。
 前日から各生産地に出向いて直接テングサを確認した。西海岸から出品されるテングサ(仁科・小下田)ではカキの付着が少ない一方、東海岸から出品されるテングサ(須崎)はカキやフケの付着が多いと感じた(ただし須崎産テングサはこの後、選別工程が実施される為、出品時にはカキやフケは除去されている)。カキの付着は石灰藻が関係する為、付着が少ないということは石灰藻の生長が遅いということになる。この地域の栄養塩がどのように推移しているか気になるところである。因みに須崎では解禁日が例年よりも遅く、まだ1回しか採取していないとのこと。今後1回〜2回採取される為、生産量は増えると予想される。
 入札業者は8社。内、FAX入札は1社であった。昨年よりは増産しており、第1回入札会では落ち着いた価格を見せたが、直近の入札会(徳島県・大分県・兵庫県)では値上がり傾向にあった。この為、今回も入札値は頭を悩ますこととなり、結果、想定していた価格よりも落札値は高かった。やはり全国的な減産が影響していると思われた。次回は愛媛県入札会であるが、愛媛県でも減産している為、同様の傾向が予想される。

伊豆白浜海水温とテングサ出品量(伊豆半島/伊豆大島)の関係

(報告/常務 森田尚宏)

東伊豆海岸(須崎)での選別作業

東伊豆海岸(白浜)。海の水が透明で綺麗。

西伊豆海岸(堂ヶ島)。伊豆ジオパークならではのダイナミックな景観

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04 2021/07/12 愛媛県第1回入札会

 愛媛県第1回入札会が昨年と同時期の7月上旬に開催された(7月12日)。出品量は31,093kgと、昨年同時期の入札会と比較して45%で、徳島県入札会と同様に大減産である(2020年7月4日;68,342kg)。過去5年で確認しても最も少ない出品量である(2016年93,407kg、2017年102,042kg、2018年91,925kg、2019年82,966kg、2020年68,342kg、2021年31,093kg)。
 今回も昨年に引き続きFAX入札となった。サンプルを送付して頂き、テングサを確認する。この時期に出品されるテングサは大半が春季に採取している為、綺麗な様相のテングサが多いが、今回は異物が多く確認される銘柄もあった(ただし、カキの付着は少なく感じた)。晒テングサは良く晒されているテングサも有れば、赤の割合が多いテングサもあり、これまでの落札価格から検討するよりは、やはりテングサ自体を確認して検討する必要があった。
 入札業者は7社。大減産していることや徳島県入札会での高額落札から、今回の落札値も高くなるであろうと予想された。問題はどの程度の価格で落札できるかであり、またしても非常に頭を悩ますこととなった。結果、想定した価格よりも更に上を行く高額落札となった。6月の徳島県入札会、7月の静岡県入札会、愛媛県入札会が終了し、今年の入札会の方向性がほぼ決定した。全国的に出品量が少ないことがかなり落札値に影響を与えている。

(報告/常務 森田尚宏)

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05 2021/07/15 東京都第1回入札会

 東京都第1回入札会が昨年より1ケ月遅い、7月中旬に開催された(7月15日)。出品量は7,500kgと、昨年の第1回入札会と比較して46%の大減産となった。この時期迄の累積出品量を過去5年で比較しても最も少なかった(2016年8,561kg、2017年11,881kg、2018年14,263kg、2019年13,104kg、2020年16,350kg、2021年7,500kg)。
 今回出品されたテングサを確認したところ、全体的にカキの付着が少なく綺麗であった(大島南方のテングサは割合カキの付着が多かった)。減産しつつもテングサにカキの付着が少ないという現象は徳島県産テングサと似ている。徳島県での減産は珪藻類が発生したことによる栄養塩不足とのこと。栄養塩不足の為、テングサのみならず、カキの原因なる石灰藻類も生長できず、カキの付着が少なかったのではないかと考える。東京都漁連の方も、今年の夏期海水温が昨年よりも高いにも関わらず(※下記グラフ)、テングサの生長が悪い為、栄養塩不足の可能性を考えられていた。現在、栄養塩不足を回避させていく方法を検討されていた(東京都漁連主体で実施している為、ここでの詳細は控えさせて頂く)。
 因みに今回出品される「荒(毛混)」も「天赤(荒混)」も様相は似ており、荒(アラメ)と天赤(ケグサ)の割合が同等であった。銘柄のみから判断すれば「荒(毛混)」は荒(アラメ)が主体であり、「天赤(荒混)」は天赤(ケグサ)が主体となる為、実際によく確認することはやはり重要である。
 入札業者は8社。東京都も大減産しており、更にこれでの高額落札から、今回の落札値も高くなるであろうと予想された。しかし、東京都産テングサは特徴的なブランド品である為、想定外の価格は入札されないのではと予想した。結果、やはり高値とはなったが、想定内の落札価格であった。次回は8月20日の和歌山県入札会である。

例年よりもかなり少ない出品量

コロナ感染対策の為、例年とは別のところで入札

伊豆大島の海水温比較(2020年/2021年)
2021年の海水温は6月後半から高くなっている。
参考:東京都島しょ農林水産総合センター 海の天気図
(解析データ詳細は近日HPにアップ予定)

(報告/常務 森田尚宏)

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