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てんぐさ入札会報告
毎年6月から10月にわたって行われるてんぐさ入札会の報告です。
てんぐさ入札会報告 令和2年(2020)
00 2020/03/30 令和元年度てんぐさ概況
01 2020/02/19 静岡県第1回入札会
02 2020/06/18 東京都第1回入札会
03 2020/06/25 徳島県第1回入札会
04 2020/07/04 愛媛県第1回入札会
05 2020/07/09 静岡県第1回入札会
06 2020/07/16 東京都第2回入札会
07 2020/07/31 三重県第1回入札会
08 2020/08/21 和歌山県入札会
09 2020/08/25 城ヶ島第1回入札会
10 2020/08/26 長崎県入札会
11 2020/08/28 三重県第2回入札会
12 2020/09/02 徳島県第2回入札会
13 2020/09/03 高知県入札会
14 2020/09/04 愛媛県第2回入札会
15 2020/09/10 静岡県第4回入札会
16 2020/09/17 東京都第3回入札会
17 2020/10/08 静岡県第5回入札会
18 2020/11/12 静岡県第6回入札会
19 2020/11/19 東京都第3回入札会
20 2020/12/09 令和2年度(2020.1〜2020.12)てんぐさ概況

00 令和元年度(平成31年1月〜令和元年12月)てんぐさ概況

 全国のてんぐさ入札(生産)量

以下の表は、2019年・令和元年までの年別テングサ生産数量(入札数量+入札外数量)です。

産地\年 令和元年
2019年
平成30年
2018年
平成29年
2017年
平成28年
2016年
平成27年
2015年
平成26年
2014年
平成25年
2013年
東京都 35 34 42 35 44 52 53
静岡県 48 69 90 110 111 106 117
三重県 4 8 11 11 8 8 16
和歌山県 19 16 14 12 9 12 14
徳島県 36 36 31 36 26 45 32
愛媛県 103 114 135 118 149 160 146
高知県 9 13 9 16 11 29 40
長崎県 5 4 6 13 20 13 23
上記産地計 259 294 338 351 378 425 441
全国生産量 458 411 471 563 486 510 559

(単位:トン)株式会社 森田商店 調べ R2(2020)/3/30

 2019年(令和元年)の全国の生産数量は入札数量と入札外数量で458トンになった。2018年(平成30年)は411トンだったので 111.4%とやや増産になったものの過去6年間平均500トンにはまだ届かない結果となった。
 価格は前年に比して当初10%高になったものの年途中で前年並み数量予想から落ち着いた展開となった。しかし2017年から2019年までの3年間には2015年の価格から150%から200%近くの高値がつくこととなった。
 一方輸入では2017年1,630トン、2018年1,627トン、2019年1,731トンと微増となっている。内訳は韓国産2017年535トン1129円/kg、2018年271トン1388円/kgのところが2019年は181トン1399円/kgとなり価格高から輸入量は減少している。
 また、最大輸入国であるモロッコからは2017年519トン626円/kg、2018年680トン648円/kg、2019年802トン581円/kgとなりモロッコ政府の輸出枠が増加(2017/20118、1,441トン→2018/2019、1,683トン)しているのに呼応している。
 今年のテングサ状況をみるに1月2月が暖冬で水温が高く続いていたことから全国的に不作気味傾向と思われるが昨年150トンほど収穫量があった千葉県房総半島の生育状況が注目される。
 一方、近年まれにみる暖冬で長野県、岐阜県の冬季天然寒天製造においては例年の20%以上の生産減となり相応のテングサ未消化となり翌年の繰り越し在庫となった。
 加えて2020年2月から始まった国内での新型コロナウィルス騒動は4月には都市部に緊急事態宣言が発令され寒天、テングサを原料とした菓子類はじめ食品類の消費減が懸念される。
 2020年のテングサ市況は作柄以外の要因として繰り越し在庫増と需要減があいまって昨年のような高値はないと予想される。

*輸入統計は財務省貿易統計より、価格はCIF価格(保険料運賃込み)

(報告/社長 森田庄次)

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01 2020/02/19 静岡県第1回入札会

 静岡県第1回入札会が昨年と同時期の2月中旬に開催された(2月19日)。出品量は6,751kgと昨年の同時期と比較して6%の減産であり(2019年2月14日;7,200kg)、2016年から4年連続の減産となった(2016年第1回入札会=17,225kg、2017年第1回入札会=15,950kg、2018年第1回入札会=8,650kg、2019年第1回入札会=7,200kg)。内訳は仁科産テングサが6,075kg、八木沢産テングサが676kgであり、仁科産は2019年採取されたテングサであった(例年、この時期に出品される仁科は前年採取されたテングサである)。
 毎年4月に開催される入札会も今年は開催予定でない。暖冬の影響で海水温が下がらないことも勘案すると(海水温が14℃以下にならないと胞子が付着しない)、残念ながら今年も減産が懸念される。
 今回は入札会場で直接確認してはいないが、状態としては良好なようだ。例えば、仁科の中でも3等という銘柄のテングサは、昨年の最終入札会ではドラクサの混合率が高かったが、今回はドラクサが別銘柄として出品されている為、3等にはドラクサの含有率が低そうであった。採取者毎にテングサに対する意識が異なる為、同じ銘柄でも常に均一とは限らない。今回のように、明らかに異なるテングサを別途ドラクサとして分けて出品して頂ければ、価格をつけやすいし、お客様も使用もしやすい。
 入札業者は8社。内、FAX入札は4社であった。大減産した昨年よりも更に減産の為、落札価格が安値になることはあまり期待できなかった。実際、昨年の最終回の落札価格を参考にした落札価格となった。高値続きであるが、徐々に相場が下がっていくことを期待する。

(報告/常務 森田尚宏)

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02 2020/06/18 東京都第1回入札会

 東京都第1回入札会が昨年と同時期の6月中旬に開催された(6月18日)。静岡県入札会(2020.2.19開催)に続く2番目の入札会であり、今年の相場の方向性を左右する重要な入札会である。
 出品量は16,350kgであり、昨年の同時期と比較して25%の増産(2019年6月20日;13,104kg)、2014年からでも最も多かった(2014年第1回入札会=13,082kg、2015年第1回入札会=6,966kg、2016年第1回入札会=8,561kg、2017年第1回入札会=11,881kg、2018年第1回入札会=14,263kg、2019年第1回入札会=13,104kg)。コロナウイルスの流行により魚介類の売れ行きが不調となり、水産系の採取業者の多くがテングサ採取に移行した為と考えられる。このことは愛知県でも当てはまる為、全国的なことと推測される。
 出品の内訳は天赤=5,880kg、天赤荒=8,970kg、天晒荒=90kg、その他=1,410kgであり、天晒/天晒荒の出品量が少ないことが目立った。
 毎年、東京都入札会で出品されるテングサの状態は良好で、今回もそうであった。例えば等級が青混といっても、赤と遜色がなく、晒テングサとして問題なく使用できる状態といった具合である。ただし、同じ大島内でも少しずつテングサの様相は異なる為、それぞれ用途を検討していく必要がある。天赤の中でも若干荒が混入している産地があったり、天赤荒の中でも少し細めの産地があったりという感じである(※それぞれの特徴を生かすことは可能なので、現状のままで特に問題はない)。
 入札業者は8社。今年は静岡県産テングサの出品量が少ないが、その他の地域では増産の傾向がある為、落札価格も下落すると思われた。実際、開票されてみると落札価格は下落したが、天赤系のテングサは想定程下落しなかった。東京都産テングサは伊豆諸島産である為、伊豆ブランドの必要性があるのでは思われた。次回は6月25日の徳島県入札会である。こちらも増産との情報が入っているが、ブランドがつく産地のテングサは大幅な下落はないのではと思われた。

(報告/常務 森田尚宏)

東京都産テングサ

都漁連からの眺め
(梅雨の合間の快晴)

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03 2020/06/25 徳島県第1回入札会

 徳島県第1回入札会が昨年と同時期の6月下旬に開催された(6月25日)。全漁連主催の入札会としては今年初めてであり、全体では3番目の入札会である(2020.2.19静岡県入札会、2020.6.18東京都入札会)。前回の東京都入札会に続き、本入札会も今年の相場の方向性を左右する重要な入札会である。
 出品量は22,959.5kgと、昨年の同時期と比較して5%の増産(2019年6月25日;21,866kg)、2015年からでも最も多かった(2015年第1回入札会=17,404kg、2016年第1回入札会=20,644kg、2017年第1回入札会=18,200kg、2018年第1回入札会=16,117kg、2019年第1回入札会=21,866kg)。やはりコロナウイルス流行により魚介類の売れ行きが不調となり、水産系の採取業者の多くがテングサ採取に移行した為と考えられた。
 今回出品されたテングサを確認すると、ある産地のテングサでは様相が袋毎に大きく異なっていた。綺麗な様相のテングサが梱包された袋もあれば、カキ・アオ・フケが付着したテングサが梱包された袋もあったという具合である。採取業者毎で判断基準が異なる為と考えられるが、このような状態では入札業者もその産地の銘柄には応札し難くなる。結果、落札値が下がり、最悪応札無しという場合もありうる。採取業者/応札業者ともに良いことはない為、なるべく均一であることを望む。
 入札業者は6社。1週間前の東京都入札会では落札価格が下落した為、今回もその傾向があると思われた。しかし、ブランドがつく産地のテングサは落札価格に大幅な下落は見られなかった。また、様相が均一な産地のテングサも応札が集中した為か、落札価格に大幅な下落はみられなかった。来週は愛媛県入札会である。

(報告/常務 森田尚宏)

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04 2020/07/04 愛媛県第1回入札会

 愛媛県第1回入札会が昨年と同時期の7月上旬に開催された(7月3日)。出品量は68,342kgと、昨年の同時期と比較して18%の減産(2019年7月5日;82,966kg)、2015年からでも同時期の出品量としては最も少なかった(2015年第1回入札会=118,628kg、2016年第1回入札会=93,407kg、2017年第1回入札会=102,042kg、2018年第1回入札会=91,925kg、2019年第1回入札会=82,966kg)。先の東京都入札会や徳島県入札会では増産した一方、愛媛県では減産である。東京都や徳島県同様、コロナウイルスの影響で魚介類の採取からテングサ採取に移行してはいると思われるが、それでも増産していないということは実際に海中にテングサが生えていないのであろう。今年の冬の海水温が高かった為、テングサの胞子が付着し憎かったということか。
 テングサの状態は概ね綺麗でカキやフケが少ない産地が多かった。ただ寄草となると異物やカキが多い産地もあり、フケと等級分けされたテングサも含有量が高い産地もあった。
 入札業者は7社。愛媛県産テングサは生産量が多く、価格も割合求めやすいという点で千葉県産テングサと似ている(※出来上がるトコロテンの性状は大きく異なることは留意しておく必要がある)。今年は千葉県産テングサが増産傾向であり、コロナウイルスによる経済の低迷もあり、愛媛県産テングサを強く求める傾向は然程感じられなかった。実際、開票してみると予想通りの相場となった。来週は静岡県入札会である。

(報告/常務 森田尚宏)

愛媛県入札@(見付会場)


愛媛県入札A
(コロナウイルス対策)


蛇口からミカンジュース
(松山空港にて)

松山城

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05 2020/07/09 静岡県第1回入札会

 静岡県第3回入札会が7月上旬に開催された(7月9日)。第2回入札会は延期された為、実質2回目の入札会であり、直近6年間で開催回数は最も少ない(7月上旬までの開催回数:2015年4回、2016年4回、2017年4回、2018年4回、2019年3回)。
 出品量は6,296kgと昨年の同時期と比較すると27%増産しているが(2019年7月11日=4,975kg)、7月中旬迄の累積出品量で比較すると49%減産しており、直近6年間でも最も少ない(1月〜7月中旬までの累積出品量:2015年55,523kg、2016年60,813kg、2017年45,225kg、2018年25,490kg、2019年25,400kg、2020年13,047kg)。
 先の東京都入札会や徳島県入札会では増産した一方、静岡県は愛媛県と同様に減産している。今年は千葉や東京都が増産傾向であり、そのような時は黒潮の蛇行の影響か、伊豆半島の収穫量が減少する傾向がある。加えて、静岡県伊豆半島の漁業従事者は元々テングサ採取業を主で実施している方が多く、東京都や徳島県のようにコロナウイルスの影響で魚介類の採取からテングサ採取に移行した人が少ないのであろう。
 ただ、伊豆半島東海岸では貝類の需要が東京方面で減少しており、テングサ採取に移行している方が増えたとのこと。また、観光業の不振により、地元業者のテングサ買取が減少し、最近で出品されなかった銘柄のテングサが出品されていた。
 伊豆入札会には前日入りして各テングサの状況を確認した。1日目は小下田、田子、仁科、2日目は稲取、外浦(今回は出品されない)、須崎を確認。どの産地も選別された1等品の状況はよく、フケやアオ、カキの付着は少なかった。テングサの成長もまずまずといったところ。一方でドラ草や3等と等級がついたテングサは、選別残渣をそのまま梱包している場合もあり、ドラやカキ、フケ以外に異物も確認された。銘柄に惑わされず、入札業者がよく確認する必要がある。また沖マクサという銘柄は一般的に、太く丈夫になる傾向があるが、ある産地の沖マクサは然程太くなく、通常のマクサという感じの産地もあった。そういったことも留意しておく必用がある。
 入札業者は8社。内、FAX入札は1社。全国的に落札価格は下がっているが、静岡県伊豆半島産テングサはブランドのテングサである為、然程落札価格も下がらないであろうと予想をした。実際、開票されると大幅な下落は認められなかった。次回は7月末の三重県入札会である(7月16日開催予定の東京都入札会は延期)。

(報告/常務 森田尚宏)

稲取改良作業

稲取漁港

須崎改良作業

外浦海岸

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06 2020/07/16 東京都第2回入札会

 東京都第2回入札会が7月中旬に開催予定(7月16日)であったが、集荷量が一定量に達しなかった為、9月中旬に延期された。2018年から連続で7月開催は延期されている。

(報告/常務 森田尚宏)

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07 2020/07/31 三重県第1回入札会

 三重県第1回入札会が7月下旬に開催された(7月31日)。出品量は1,587kgと昨年の同時期と比較すると37%減産(2019年7月25日=2,508kg)、直近6年間でも最も少なかった(2015年3,654kg、2016年10,264kg、2017年10,519kg、2018年5,046kg、2019年2,508kg、2020年1,587kg)。
 今年は東京都入札会や徳島県入札会で増産はしているが、三重県や静岡県、愛媛県では減産しており、ここにきて減産が目立ち始めてきた。今年の冬の海水温は高かった為、やはりテングサの胞子が付着し難かったのか、実際に海中にテングサが生えていないと思われた。
 今年も出品量が少ない為、FAX入札となった。入札前にサンプルを取り寄せて、各産地のテングサを確認した。例年通りの様相であったが、2等となると異物混入の割合が多く、1等と2等の差が大きく感じられた。そういった点も併せて価格を決定していく。
 入札業者は6社。三重入札会は地元の業者も参加しており、地産地消の傾向がある。また、特定産地のテングサを好むお客様もみえることから、全国的には値下げ傾向であるが、大幅な値下げにはならないと予想した。実際、開票されてみると、昨年よりは値下げであったが、やはり大幅な値下げ迄とはいかなかった。次回は8月21日の和歌山県入札会である。

(報告/常務 森田尚宏)

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08 2020/08/21 和歌山県入札会

 和歌山県入札会が8月下旬に開催された(8月21日)。出品量は14,374.2kgと昨年の同時期と比較すると24%減産(2019年8月22日=18,872kg)、直近6年間でみると平均的な出品量であった(2015年9,116.9kg、2016年11,578.9kg、2017年13,790kg、2018年15,863kg、2019年18,872kg、2020年14,374.2kg)。地域別では内湾に面した産地では多く出品されていたが、外洋に面した産地では減産傾向であった。
 また、外洋に面したある産地では例年と異なりサルクサが多く混入していた。この産地は出品量自体がかなり減産しており、マクサのみの収穫では採取量が確保できなかったのか。別の外洋に面した産地でも、サルクサの出品量は然程変化なかったが、マクサの出品量は減産していた。和歌山において外洋に面した産地はマクサよりもサルクサが今年は優占したのか。一方で内湾のマクサは多く収穫されており、状態も綺麗であった。
 入札業者は5社。入札も中盤となり、各社ともテングサは徐々に確保できているようで、各社とも確保しなければならないという雰囲気はなかった。実際、開票されてみると、全体的に落ち着いた価格であり、その中でも通常高値で落札されるテングサがそこまでの価格とはならなかった。ただし、出品量が多かった産地のテングサは昨年並みの高値となった。相場は落ち着いているが、やはり需要が高いものは然程安価にならないのか。次回は城ヶ島、長崎県、三重県と続いていく。

(報告/常務 森田尚宏)

加太の海

入札会場にて見付けをする

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09 2020/08/25 城ヶ島第1回入札会

 城ヶ島入札会が8月下旬に開催された(8月25日)。出品量は3,044kgと昨年の第1回入札会の出品量と比較すると21%増産(2019年8月8日=2,514kg)、直近6年間でも最も多かった(2015年1,470kg、2016年2,149kg、2017年2,360kg、2018年780kg、2019年2,514kg、2020年3,044kg)。ただし、今年は例年より1ヶ月程度開催が遅れたことにより(例年は7月中旬開催)、収穫時期がずれこみ、増産した可能性がある。第2回入札会の出品量は600kg程度と予想されており、累計では昨年並みと思われる。
 城ヶ島入札会の出品量は東京都入札会の出品量と相反することが多い。しかし、今年は城ヶ島も東京都も増産している。コロナウイルスの影響で東京方面での魚介類の需要が減少し、テングサ採取へ移行した為と思われる。
今回はFAX入札となった為、サンプルを送付して頂き、確認した。外天赤は例年通りの状態で良質であった。一方で外天青はアオが付着したテングサもあれば、外天赤の選別残渣もあるとのことであった(漁協談)。
 入札業者は5社。城ヶ島はアラメ系テングサである為、東京都産のアラメの落札価格が参考となる。また、直前に実施された和歌山県入札会の落札価格も参考となる。実際、開票されてみると落札価格はこれらに則った落ち着いた価格となった。

(報告/常務 森田尚宏)

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10 2020/08/26 長崎県入札会

 長崎県入札会が8月下旬に開催された(8月26日)。出品量は1,814.2kgと昨年の出品量と比較すると12%増産(2019年8月28日=1,613kg)、2018年から続いて増産しているが、直近5年間で確認すると少ない方である(2016年3,172kg、2017年3,278kg、2018年1321.9kg、2019年1,613kg、2020年1814.2kg)。
 長崎県入札会で出品されるテングサはケグサのみの産地もあれば、サルが混合した産地もある。サルの混合率は製造に大きく影響を与える為、サンプルで確認する必要がある。送付されたサンプルで確認するとサル混合率は10%〜20%で、例年通りと思われた。ケグサ自体は若干細いように感じた。
 入札業者は5社。コロナ感染の懸念がある為、本入札会でもFAX入札となった。全国的に相場はかなり落ち着いているが、長崎県産テングサを希望するお客様もいる為、必要であれば相応の価格で入札する必要がある。結果、安値とまではいかなかったが、相場相応の落ち着いた価格となった。

(報告/常務 森田尚宏)

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11 2020/08/28 三重県第2回入札会

 三重県第2回入札会が例年通り8月下旬に開催された(8月28日)。出品量は1,011kgと昨年の出品量と比較すると13%減産した(2019年8月30日=1,167kg)。年間累積でも29%減産、直近6年の累積出品量でも最も少なかった(2015年8,167kg、2016年10,797kg、2017年11,023kg、2018年8,256kg、2019年3,675kg、2020年2,598kg)。三重県は年々収穫量が減っているが、三重県産テングサを好んで使用して頂いているお客様もみえる。今後が懸念されるところだ。
 減産の原因としては磯枯による生育不足があげられる。更に今年は梅雨期間が長く、採取期間が減少したことも影響した。一方で採取業者は特に減少していないようで、この点は安心材料である。
 近年、黒潮の大蛇行が全国的にテングサの生育に影響を与えている。三重県も同様で、高海水温が伊勢湾に滞留し、胞子が付着しないようだ。台風が例年と異なる進路をとり、岩場が減少していることもあげられる(砂地が多くなり、胞子が付着しない)。他にも潮位が例年と異なり、満潮になった後も潮が引かないことも影響しているようだ。
 サンプルを確認すると、上記のことが影響しているのか、春期のテングサよりも若干細かった。カキやアオの付着も見られたが、これは夏期〜秋期で出品されるテングサには一般的なことである。
 入札業者は6社が参加。今回もFAXにて入札が行われた。全国的に相場はかなり落ち着いているが、地産地消が推奨される昨今、地元の業者の方が相応の価格で落札された。これにより採取業者の採取意欲が続いて頂ければ弊社としても幸いである。

(報告/常務 森田尚宏)

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12 2020/09/02 徳島県第2回入札会

 徳島県第2回入札会が例年通り9月上旬に開催された(9月2日)。出品量は11,249.5kgと昨年の出品量と比較すると10%減産した(2019年9月3日=12,446.1kg)。一方で年間累積出品量では昨年と略同量であり(2019年34,312kg)、直近6年の累積出品量でも平均的な出品量であった(2015年25,668kg、2016年36,110kg、2017年30,486kg、2018年36,017kg、2019年34,312kg、2020年34,209kg)。徳島県は安定的にテングサが多く出品されており、業者としては有難いところである。
 ただ、やはり他入札会と同様にコロナ禍ということで本入札会もFAX入札となった(四国入札会では初めてのFAX入札である)。この為、各産地のサンプルを送付して頂いた共に、テングサの様相を把握できる動画も送って頂いた。実際に確認することはできなかったが、かなり把握できたように思う。
 全体的にはカキの付着が多く見られた。一般的に夏期に生育したテングサはカキの付着が多くみられるが、今年は特に多く感じた。昨年もカキが多く付着していた産地があり、近年その傾向があるかもしれない。ただし、カキの付着が少なく、綺麗に晒すことができた産地もあった。これは春期に生育・採取されたテングサと思われる。
 入札業者は6社。全国的に相場はかなり落ち着いているが、上記のとおりカキの付着が多く見られたことから、更にその傾向が強くなると思われた。実際に開票されてみると特にブランドの産地でその傾向が強かった。ブランドの産地でカキの付着が多いと、積極的に入札をし難くなる心理が働いたのか。
 次回は高知県入札会・愛媛県入札会と続き、全漁連主催の入札会は終了する。

(報告/常務 森田尚宏)

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13 2020/09/03 高知県入札会

 高知県入札会が例年通り9月上旬に開催された(9月3日)。出品量は1857.7kgと昨年の出品量と比較すると76%減産した(2019年9月5日=7,607.9kg)。直近6年でも最も少なく(2015年7,729.3kg、2016年10,683kg、2017年8,975.8kg、2018年10,989.5kg、2019年7,607.9kg、2020年1,857.7kg)、残念ながらかなり減産したと言わざるをえない。
 先でも報告したように高知県入札会を含む四国入札会はコロナ禍ということでFAX入札となった。事前に送付して頂いたサンプルでテングサの見付けを実施、晒テングサは上々の晒具合であり、綺麗であった。赤草も割合カキが少なく、綺麗であった。徳島県と高知県では隣同士であるが、徳島県入札会で出品されたテングサよりもカキが少ない印象を受けた。若干外洋系である高知県と若干内湾系である徳島県という僅かな地理的違いにより、黒潮の影響が変わるのであろうか。出品量が安定している徳島県と減産している高知県ということにも関係があるのか。
 入札業者は5社。全国的に相場はかなり落ち着いているが、高知県入札会は地元業者も入札する。地元業者は地産地消の傾向がある為か、全国的な相場傾向と若干異なる傾向がある。本入札会でもその傾向が確認され、徳島県入札会の落札価格程はならなかった印象であった。次回は愛媛県入札会で全漁連主催の入札会は終了する。

(報告/常務 森田尚宏)

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14 2020/09/04 愛媛県第2回入札会

  愛媛県第2回入札会が例年通り9月上旬に開催された(9月4日)。出品量は15,562kgと昨年の出品量と比較すると24%減産(2019年9月6日=20,507kg)、年間累積出品量でも83,904kgと19%減産した(2019年=103,473kg)直近6年の累積出品量でも最も少なかった(2015年148,834kg、2016年118,364kg、2017年134,039kg、2018年114,332kg、2019年103,473kg、2020年83,904kg)。
 先でも報告したように愛媛県入札会を含む四国入札会はコロナ禍ということでFAX入札となった。事前に各産地のサンプルを送付して頂き、更にテングサの様相を把握できる動画も送って頂いた。実際に現物を確認することはできなかったが、フケの付き具合等かなり把握できた。上レベルのテングサは夏期出品のテングサにも関わらず異物やカキが少なく、上質であった。一方で寄草に関してはカキや異物が多く、どちらかというと選別残渣という印象を受けた。この点は第1回入札会と同じ感想である。
 入札業者は6社。全国的に相場はかなり落ち着いているが、下値のテングサ相場は凡そ確定している。このような背景から愛媛県入札会に関しては第1回入札会から大きく下がらないと予想した。実際、落札値はそのような傾向となった。本入札会で全漁連主催の入札会は終了した。

(報告/常務 森田尚宏)

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15 2020/09/10 静岡県第4回入札会

 静岡県第4回入札会が9月上旬に開催された(9月10日)。出品量は7,548kgと昨年の同時期の出品量と比較すると55%増産した(2019年9月12日=4,881kg)。ただし、この時期迄の累積出品量では32%減産であり(2019年=30,281kg)、直近6年の累積出品量でも最も少なかった(2015年71,447kg、2016年76,368kg、2017年58,075kg、2018年35,638kg、2019年30,281kg、2020年20,595kg)。
 入札会には前日入りして、各産地の出品されるテングサを確認した。概ねカキの付着は少なく良好であったが、一部地域ではカキやフケが若干付着していた。原藻自体にはカキやフケの付着があるようで、選別を実施して頂いた結果の良品といえる。
 今回は白浜の海洋技術研究所の方に面会する機会が有り、海洋の状況を伺った。テングサ減産の主要因はやはり黒潮が大蛇行し、高温・低栄養塩の海水流入が起きた為ではないかとのこと。黒潮の蛇行は2017年8月に始まっているが、翌年の2018年はテングサの出品量が激減している。テングサの胞子は冬に海水温が14℃以下となって付着するといわれている為、黒潮の蛇行とテングサ生育量の関係性が確認できる。
 今年は磯枯も確認されており、岩礁帯を占有していたカジメも生育しておらず、白浜付近だけとなっているようである。カジメを餌としている貝類は生育することができず、漁業者は来年テングサ漁に移行する可能性があるが、テングサも生育するかどうか不透明である。磯枯れは西海岸から現れ始めており、この点でも黒潮が流れてくる方向と一致する。
 入札業者は8社。内、FAX入札は2社。全国的に相場はかなり落ち着いているが、伊豆入札会は地元業者も参加しており、更にブランド産地である為、然程価格は落ち着かず、前年並みとなった。今日も海水温が高いのか、大島の上空には積乱雲が発生しており、9月に入ってもまだ夏の様相であった。来週は東京入札会である。

(報告/常務 森田尚宏)

雲見海岸

大島と夏の雲


入札会場にて

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16 2020/09/17 東京都第3回入札会

 東京都第3回入札会が9月中旬に開催された(9月17日)。出品量は16,434.4kgであり、現時点での累積出品量は32,784kgとなった。既に昨年の年間出品量を上回っており(2019年年間出品量=30,285kg)、今後も入札会が開催予定の為(10月11月)、更に増産予定である。直近6年の年間出品量で確認してみても、2015年以外は上回っている(2015年36,163kg、2016年24,498kg、2017年30,789kg、2018年28,077kg、2019年30,285kg、2020年32,784kg)。現時点で既に例年より増産しているといえる。
 伊豆半島産のテングサは2017年夏の黒潮大蛇行の影響を受けて減産しているが、東京都産のテングサ(伊豆諸島産テングサ;主に伊豆大島産テングサ)は増産しており、黒潮大蛇行の影響を特に受けていないのであろうか。それとも影響を受けて増産しているのか。今回出品されたテングサの内、天赤荒系のテングサ(アラメ赤/アラメ赤青混/アラメ赤毛混)が12,175kgと全体の74%を占めた。出品されるテングサを確認すると、いつも通り良好な様相で生長も良く、特に変化があったとは感じられなかった。
 伊豆大島のテングサは地区によりテングサの様相が異なる。具体的には外洋系の波浮産テングサと内湾系の岡田産テングサでは太さが若干異なることがあげられる。銘柄にとらわれず、実際のテングサを確認して使用方法を検討する必要がある。
 入札業者は8社。上記の通り、東京都産テングサは増産しており、全国的な相場も相まって、落札価格はかなり落ち着いた。一方で一部のテングサには出品業者の方で敷札が設定されていた為(敷札:出品業者が設定した最低引取価格)、敷札以下で入札されたテングサは次回入札会にまわった。
 漁師の方はテングサの落札価格により、イセエビ漁に移行するかテングサ採取に移行するか検討するとのこと。この為、テングサの落札価格が下がりすぎるとテングサは減産し、また価格上昇となる可能性がある。次回は10月の伊豆入札会である。

(報告/常務 森田尚宏)

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17 2020/10/08 静岡県第5回入札会

 静岡県第5回入札会が10月上旬に開催された(10月8日)。出品量は7,377kgと昨年の同時期の出品量と比較して13%減産した(2019年10月10日=8,494kg)。また、この時期迄の累積出品量も27,972kgと28%減産しており(2019年=38,775kg)、直近6年の累積出品量でも最も少なかった(2015年89,587kg、2016年90,932kg、2017年72,001kg、2018年55,917kg、2019年38,775kg、2020年29,972kg)。
 最終的な出品量は11月の入札会で確定するが、恐らく減産になると思われる。増産している伊豆諸島とは対照的である。原因はやはり黒潮の大蛇行と考えられる為、伊豆の水温データと出品量の解析を実施予定である。ただし、最終的な解析は11月の全入札会終了後となる。西伊豆地域、東伊豆地域、伊豆大島・西海岸地域、伊豆大島・東海岸地域での出品量を比較すればより傾向が分かるかもしれない。
 伊豆には前日から入り、今回出品されるテングサの産地(須崎、八木沢)を回った。八木沢の取草1等品であれば晒具合は一様で、カキの付着も少なく良好であった。一方、取草2等品となると晒具合が一様でなくなり始めていた。晒具合が一様でなくとも使用可能ではあるが、トコロテンを製造する時に先入観が入ってしまう。できるだけ晒具合は一様が良いかと思われる。寄草もカキの付着が少なく良好であったが、晒具合は一様でない傾向があった。ただし、寄草は取草と比較して、落札価格が下がる為、許容範囲といえる。
 入札業者は7社。内、FAX入札は2社。全国的な相場は落ち着いているが、伊豆産テングサはこれまで昨年とほぼ同等または若干高めで落札されていた。これは減産や伊豆ブランドに加え、地元業者による地産地消傾向がある為と思われる。開票されてみると、やはり落札価格は昨年と同等または若干高めとなった。
 本日は台風直前で灰色の雲が一面たちこもっていた。須崎の浜では既に強風が吹き荒れており、台風の接近を肌で感じた。9月の夏模様とは打って変わった天候であった。次回は11月でこれをもって本年度の入札会は終了する。

(報告/常務 森田尚宏)

須崎テングサ(須崎保管庫にて)

台風直前の須崎浜

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18 2020/11/12 静岡県第6回入札会

 静岡県第6回入札会が11月上旬に開催された(11月12日)。本入札会で2020年度静岡県入札会は終了である。出品量は8,432kgと昨年の同時期の出品量と比較して25%増産した(2019年11月7日=6,731kg)。しかし、年間累積出品量は36,404kgと20%減産しており(2019年=45,506kg)、直近6年の累積出品量でも最も少なかった(2015年107,311kg、2016年103,488kg、2017年85,593kg、2018年64,524kg、2019年45,506kg、2020年36,404kg)。今回出品されるテングサの内訳は東伊豆では白浜/外浦/須崎、西伊豆では仁科/田子/安良里/小下田/雲見であった。その中で外浦/須崎/小下田が割合多く出品された。
 減産の原因はこれまでも述べた通り黒潮の大蛇行が考えられる。黒潮の大蛇行は伊豆諸島(東京都)にも影響していると考えられる為、東京都入札会(伊豆諸島産テングサ)の出品量と併せて検討予定である(東京都入札会は11月19日に最終回が開催される)。
 各産地のテングサを実際に確認したところ、テングサの生長自体は例年通りであり、全体的にカキやアオの付着は少なく綺麗であった。しかし、一部には「晒」銘柄のテングサでも、「トラ晒」や「赤トラ晒」と判断するものがあった(赤草の含有率が高い)。また「改良済」銘柄のテングサでも、カキや付着器が割合残存しているものもあった。生産者現場には何度も見させて頂いており、皆さん手間を惜しまず実施しているので、これらは生産者の認識が異なっている為だと思う。しかし、テングサの取引は継続的に行われていく為、双方(生産者と購入業者)納得いくように銘柄の認識の統一は必要だと思う。
 入札業者は7社。内、FAX入札は1社。全国的な相場は落ち着いているが、これまで伊豆産テングサは昨年とほぼ同等または若干高めで落札されていた。これは減産や伊豆ブランドに加え、地元業者による地産地消傾向がある為と思われた。しかし、最終回となると、各業者ともテングサが揃い始めたのか、落札価格はやや落ち着きを取り戻した。本入札会で2020年の静岡県入札会は終了した。

(報告/常務 森田尚宏)

雲見海岸

小下田倉庫

外浦倉庫

須崎倉庫

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19 2020/11/19 東京都第3回入札会

 東京都第3回入札会が11月中旬に開催された(11月19日)。本入札会で2020年度東京都入札会は終了、全国入札会も本会をもって終了である。出品量は8,323.4kgであるが、内5,280kgは前入札会での不調品(※)である為、実質出品量は3043.4kgである。内訳としては伊豆大島、新島、式根島であり、突出して出品量が多かった産地は特になかった(伊豆大島波浮地区は5,360kg出品されたが、大半が前回の不調品)。年間累積出品量は35,828kgとなり、昨年累積出品量と比較して18%増産、減産が続いている伊豆半島とは相反している。
 各産地のテングサを実際に確認したところ、いつも通り荒アオ混の銘柄でも特にアオの含有量は高くなく、荒としても使用可能と思われた。また、荒毛混の銘柄でも毛の含有量は少なく、こちらも荒として使用可能と思われた。黄晒も各産地とも赤草の残存率は少なく、全国的にも黄晒は希少である為、比較的高値が予想された。ただ、晒具合は産地毎に異なる印象があり、黄色の晒もあれば、若干赤みがかっていた晒もあった。また、若干カキの付着があったりしていた銘柄もあり、相応の価格で入札する必要があった。
 入札業者は8社。全国的に相場は落ち着いており、特に東京都はアラメが増産されていた為、相応の価格が予想された。ただし、今回も敷札が入っているとのことであり、各社その点を留意して入札した。実際開票されると、予想通り高値とはならず落ち着いた価格で終了した。本会をもって2020年度の入札会は全て終了、全国入札会も終了した。

※不調(東京都入札会の場合):敷札が設定されていて、入札価格が敷札を下回って落札されなかったこと。

(報告/常務 森田尚宏)

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20 2020/12/09 令和2年度(2020.1〜2020.12)てんぐさ概況

 全国のてんぐさ入札(生産)量

2020年(令和2年)の生産数量(入札数量+入札外数量)です。

産地\年 令和2年
2020年
令和元年
2019年
平成30年
2018年
平成29年
2017年
平成28年
2016年
平成27年
2015年
平成26年
2014年
東京都 38 35 34 42 35 44 52
静岡県 36 48 69 90 110 111 106
三重県 3 4 8 11 11 8 8
和歌山県 14 19 16 14 12 9 12
徳島県 34 36 36 31 36 26 45
愛媛県 87 103 114 135 118 149 160
高知県 2 9 13 9 16 11 29
長崎県 5 5 4 6 13 20 13
上記産地計 219 259 294 338 351 378 425
全国生産量 *390 458 411 471 568 486 510

*推定値     (単位:トン)株式会社 森田商店 調べ R2(2020)/12/9

 2020年は11月19日の東京都第3回入札会で終了したが一年を通じて異常な年となった。
 全国の生産数量は入札数量と入札外数量で推定390トンになった。2019年は458トンだったので15.8%減と大巾な減産となり過去最低を記録した。
 一部産地(東京都、兵庫県、大分県)は微増となったものの他の地域では前年を下回る結果となった。
 2020年の1月、2月が記録的な暖冬で水温が高く推移し、黒潮の大蛇行とあいまって(天草の着床に適した13℃より高いこと、また黒潮の栄養塩が低いこと)不作が予想されていた。
 2019年千葉県房総半島では150トンほどの水揚げがあったものの2020年は129トン(推定)で終わっている。
 採取時の天候状況では4月から6月までは採取して乾燥させるのに好都合な天候が続いたものの7月は記録的な長雨(「令和2年7月豪雨」)に影響され採取が止まることとなった。また、8月は酷暑の日が続きこれも浜で天草を乾燥させるのに厳しい作業を強いられることとなり減産に拍車をかけた。
 また、2020年2月から始まった新型コロナウィルス蔓延により4月からの都市部緊急事態宣言は高級魚介類の消費が減り、浜では天草採取の意欲が高まったものの大きな増産とはならなかった。しかも新型コロナウィルス騒動の行動自粛から天草を使った寒天原料の菓子類(羊羹など)の大きな消費減があり天草は減産であるにもかかわらず価格面では下げることとなった。
 一方、輸入に関してみれば韓国は3年間の高値買付契約が2019年に終了し2020年には新価格帯で動き始めた。2020年10月までで184トン、価格は前年比26%安の1,161円/kg(前年同時期は104トン1,570円/kg)であった。また、最大輸入国のモロッコからは2020年10月までに474トン533円/kg(前年同時期は758トン586円/kg)と数量減と価格下落がみられ、先安を見込み当面の輸入量が抑えられている。
 価格面で国内、輸入共に下落傾向にあるが、ひとえに新型コロナウィルスの影響による需要減が大きく影響している。
 早く終息することを望むばかりである。
 国内生産確定数量は2021年3月に報告できる。
 輸入統計は財務省貿易統計より、価格はCIF(保険料、運賃込み)

(報告/社長 森田庄次)

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