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てんぐさ入札会報告 平成18年(2006)
00 2006/05/20 平成17年まとめ
01 2006/05/18 東京都第1回入札会
02 2006/06/07 徳島県第1回入札会
03 2006/06/15 東京都第2回入札会
04 2006/06/21 静岡県第1回入札会
05 2006/06/28 和歌山県第1回入札会
06 2006/07/04 愛媛県第1回入札会
07 2006/07/05 静岡県第2回入札会
08 2006/07/07 三重県第第1回入札会
09 2006/07/11 神奈川県城ヶ島漁協第1回入札会
10 2006/07/21 東京都第3回入札会
11 2006/07/26 静岡県第3回入札会
12 2006/07/27 和歌山県第2回入札会
13 2006/08/02 長崎県入札会
14 2006/08/04 三重県第2回入札会
15 2006/08/10 静岡県第4回入札会
16 2006/08/17 東京都第4回入札会
17 2006/08/29 徳島県第2回入札会
18 2006/08/30 高知県第1回入札会
19 2006/09/01 神奈川県城ヶ島漁協第2回入札会
20 2006/09/08 愛媛県第2回入札会
21 2006/09/13 静岡県第6回入札会
22 2006/10/04 静岡県第7回入札会
23 2006/10/05 城ヶ島第3回入札会
24 2006/10/18 静岡県第8回入札会
25 2006/10/19 東京都第5回入札会
26 2006/11/06 平成18年てんぐさ概況

00 2006/5/20 平成17年 まとめ

 全国のてんぐさ入札(生産)量

以下の表は、昨年までの年別てんぐさ入札(生産)量です。

産地\年 平成17年 平成16年 平成15年 平成14年 平成13年
東京都 115 94 72 67 78
静岡県 180 142 106 202 176
三重県 66 54 65 27 44
和歌山県 42 29 27 27 36
徳島県 97 51 36 71 146
愛媛県 189 130 99 132 128
高知県 8 7 6 5 29
長崎県 24 7 19 18 28
上記産地計 721 514 430 549 665
全国生産量 843 605 537 658 767

(単位:トン)株式会社 森田商店 調べ 2006/5/20

 昨年のてんぐさブームを反映して、全国生産量は842トンと平成11年来の増産、昨年比240トンの増加となった。
 ちなみに平成9年が988トン、平成10年が938トン、平成11年が821トンとなっている。
 平成12年は、三宅島が6月に噴火して操業停止となり789トンであった。それ以後600トン前後で推移していたのが昨年のブームで高値に刺激され増産された。
 しかし、輸入てんぐさの量も一昨年2567トンと比較して昨年は3752トンと、1200トンほど増えている。需要の方は一部価格の安い輸入品にシフトしている状況もあり、昨年の天草ブームが今年の国内てんぐさの需給に如何に反映されるのか注目される。
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01 2006/05/18 東京都第1回入札会

 注目の今年最初のてんぐさ入札会が東京都で開かれた。例年、徳島県が6月の上旬に開かれるのが一番早い入札会であるが、今年は東京都伊豆大島の生産が大いにあがり、例年より一ヶ月ほど早い、全国で一番乗りの東京都入札会となった。
 数量も575本17トンと比較的多く、品も上品質揃いであった。
 昨年からの寒天ブーム、てんぐさブームで成り行きが注目され、島の生産者も結果を心待ちに大挙10人以上、静岡県漁連からも所長さん以下2人見学に来ている。
 1時半からの入札開始であるが、半年ぶりにてんぐさ業者仲間も顔を合わせ、今までのてんぐさの販売状況、輸入てんぐさ動向などの情報交換に余念がない。
 販売面から言えば1〜2月にかけてはところてん製造業者からの引き合いが多く、在庫払底してしまうかと思うほどであったが、4月の春寒、5月連休後のはしり梅雨模様続きで急ブレーキがかかっている。
 これはどちらの業者も同じようである。今までの押せ押せムードが少し弱まっていく様に思えるが、どのあたりの価格帯に焦点を定めたらいいのか、各業者模様眺め空気の中での札入れとなる。
 札を開けてみれば出席者ほぼ同一の考え、接近した値が入り、一同感心することしきりであった。
 結果は、昨年の最高高値と出始めの安値の中間値で落ち着き、納得のいく相場であった。
 入札会後に漁業生産者とてんぐさ問屋との情報交換、懇親会がもたれた。
 伊豆大島波浮港漁協では、昨年の口明けが素潜り4月1日、エアーコンプレッサー使いが4月15日であったのが昨年来の高値刺激で、両者とも今年は4月1日に解禁したこと、また、エアーコンプレッサー使いは素潜りの2〜3倍の収穫があがり今回の量産につながったこと、さらに三宅島も採取に入っていて4週間後の第2回の入札会には出品されること、今年の天候不順により出漁日数が制限されること、などが報告された。
 とにもかくにも、今年のてんぐさ入札会が本格的にスタートした。
 今後の展開が注目される。

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02 2006/06/07 徳島県第1回入札会

 徳島県の入札会がおこなわれた。今年は東京都が先陣を切り、2番手の入札会である。
 東京都で一応の目安が出ているので今回はその相場観の確認という意味がありその点重要な位置づけである。
 出品数は40トン、昨年の58トンに比べれば少ないものの一昨年の29トンより多く、まずは平年作というところである。今年の5月は異常に雨が多く、てんぐさの採取には不向きの天気が続き、数量確保が危ぶまれたが、まずは無難な数量である。出席者は昨年と同数の9社である。
 前日に荷物がある現場に入り品物の品質のチェックをする。
 草の伸びは良いか、乾燥は充分か、夾雑物は入っていないか、2等品の青草は混じっていないか、カキ(石灰藻)は付着していないかを各品種、28種について見ていく。そこに価格をあてはめ、納得のいく値段をつけていく。
 いつものことながら第1回の品は春草で上品が多く、乾燥のみを重点に見ればほぼOKである。相場は昨年比60%〜70%高で落札され、40トンの内ほぼ70%ほどを当社で落札することができた。ここのところ価格帯の低い輸入物の値上がりが大きく、その面からして納得の価格であった。
 今後もほぼこの状態で進んでいくものと予想される。

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03 2006/06/15 東京都第2回入札会

 第2回目の東京都入札会がおこなわれた。先週の徳島に続いての開催である。出席者はいつものメンバーの11社である。今回の特徴は、新島、三宅島、特に三宅島は平成12年の火山噴火から実に6年ぶりの出品である。(昨年はほんの小手調べ程度の出品であった。)神着漁協の天晒荒め1等上、通称特等品が38本出ている。
 今年は2回目で合計本数は1169本、昨年は1回で851本であるから318本9,500kgほど多くなっている。その内訳は、三宅島、新島で155本増え、大島元町漁協産で100本の増産である。梅雨入りしてから1週間から10日ほど天気が続いたので、それもプラスになったと思われる。写真は三宅島、新島の黄晒品である。
 入札前の業者立ち話はいつものように、もっぱら普段の会話の中でなにがしかのヒントをつかもうと、「ここのところの陽気でところてんの売れ行きは今いちである。」とか「浜はどの程度進んでいるだろうか。」という会話があちこちでされている。また、入札会後は商社同士での懇親会が予定されていて、今日は応札者以外の多彩な顔ぶれがそろっている。これは情報交換と親睦を目的として、2〜3年に1回程度、開催される。
 札の方は前回同様、慎重な値入れをする商社が多く、落ち着いた調子で終わった。
 当社は594本の内、約4割235本落札できた。
 こんな調子で今後も展開されていくと予想される。

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04 2006/06/21 静岡県第1回入札会

会 場:静岡県漁協/賀茂出張所
参加社:10社(内、FAX入札2社)
入札前:会場入する前に漁協を巡り、天草をチェックして入値を再検討する。チェック項目は茎の太さ、葉先の状況、石灰藻等の他の海藻の付着具合等である。出品量は昨年度と比較して全体的に少なく、9,538kg 382本であった(2005年度:12,040kg 482本)。漁協別では田子漁協と安良里のみ増加しており、それ以外は減少していた。
 また次回以降の入札会に出品される天草の量も確認し、今入札会で入手すべきか等も検討した。稲取漁協からの出品量は少なかったが、これは沖と川からの水が濁っており、出漁日数が少なかった為とのことであった(因みに白田地区には稲取漁協の船2艘が出向して採取している)。
 会場入後は展示されている各サンプルで再確認し、最終チェックを実施した。
入札:入値は立会人二人の元で口頭発表された。各社により様々な傾向が見られ、他社の入値を確認しては感嘆の声があげられた。入札結果は平年並みで終了した。また今回の出品量は全体的に例年より少なく、静岡県入札会は全7回実施される為、今回の各社の入値は次回からの値段の参考となった。

(文責/森田尚宏)

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05 2006/06/28 和歌山県第1回入札会

 和歌山の第1回入札会が例年どおり大阪海苔協同組合でおこなわれた。
 梅雨入りしたというものの結構天気が良い日がボツボツあり、各浜での天草の集荷は進んでいると情報が入ってきている。
 入札にはこの次、また、さらにその次の展開をそれぞれ描きながら各商社、当日に臨んでくる。
 この和歌山の後は7月4日に愛媛県の150トンの大口入札が控えている上、翌5日に伊豆、7日には三重県が昨年並みに数量が多く集荷され控えている。それを考えると、安値方向に向かう空気が漂っている。が、一方、先週、韓国済州島の天草入札が開かれ、これが予想を大幅に上まわる昨年比200%近い価格で終了していて、これを考慮すると高値予想される。
 今日はこの状況を如何に含んでいくかがポイントとなっている。
 端的にいえば高い価格の天草は下押しすると思われる一方、安い価格たとえば今まで韓国品に代替されていたのものは、しっかりした価格になると予想されている。
 出席商社は昨年より1社多く8社で、予定どおり午後1時に札〆で即開票となった。
 数量13トンが10分足らずで発表、全量完売される。結果、上物は依然としてしっかりしている反面、下物は大幅に上げて終了した。もとより韓国天草相場の影響を大きく受けた形となった。
 この形で進んでいくとすると、需用者の寒天の製造家、ところてんの製造家におおきな負担をかけることになり、先行きが懸念されることになる。

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06 2006/07/04 愛媛県第1回入札会

 愛媛の第1回入札会がおこなわれた。数量は当初予定より増え、昨年の153トンに対して170トンまでになった。昨年来の高値と、他の漁の不振が天草採取に向かっての結果であると推定する。出席者は昨年より増えて13社とにぎやかである。
 いつもの様に見本が並べてあり、それを応札者が検品して後、2回に分けて入札する。数量が多いのと、昨年に比べところてん需要の停滞から安値気配がある反面、済州島の価格が昨年より200%近い値上がりしているのでそのせめぎ合いである。
 見本入札では、現品を代表する見本の選び出しで大きく判断が左右されるので、再三その点を漁連、出品組合に充分注意をお願いしている。
 今回も一部組合のものでサラシ天草の中で袋の口側には良品があり、底の方には不良のものが入っているのが見受けられた。どうしても人のやることには良く見せたい気持ちがあり、自然とそのようなことになると思われるので、あながち責められないのである。が、買う側としてはすんなり納得するわけにはいかない。ここの荷物はそういう傾向にあるということを承知して、買付値段を設定していく。
 また、日振島の寄り草については浜の生産者の人も来ていて、見本と現物荷物と一部違っていることがわかり直前に入札表を改める場面もあり、応札者としては理にかなった処置と歓迎した。いずれの場合も生産者、組合、県漁連、買付商社、需要家の考えがよく通じ合い、お互い良い方向に向かっていくことが望まれる。
 価格は数量が多いのでやや安値なるかとも思われたが、結果は昨年の価格を上回って終了した。特に下の価格のもの上がり大きく、上下の幅が縮まってきた。
 明日は静岡県第2回入札会である。

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07 2006/07/05 静岡県第2回入札会

 昨日に引き続き、今日は伊豆、下田で第2回の入札会がおこなわれた。
 昨日愛媛の松山より飛行機で戻り、今日伊豆へ新幹線で出向くことも可能であるが、前回6月21日のときに伊豆の主要な組合のてんぐさ集荷状況は把握しているので、FAX入札で対応する。他の業者も似たようなことで出席商社は5社、FAX入札4社という状態であった。
 昨年から土肥漁協が県漁連入札に出すようになり、今回は小下田支所のものが多く出された。作柄もよく品物は上品であり、価格も納得できる価格で終了した。
 総体に相場は上物が弱く、下物が強くというのが流れであるが、稲取漁協では白田地区のものが良く、価格も前回より上値を追っていく結果なった。
 明後日は三重県第1回であり数量が多く出そうである。

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08 2006/07/07 三重県第第1回入札会

 一昨日に続いて、三重県は松阪市のみえぎょれん海苔流通センターで、天草の入札会がおこなわれた。
 三重県の場合、今年は産地により水揚げ量が例年に比べ様変わりである。
 鳥羽地区が極端に少なく、昨年が6,573kg、今年が719kgと大幅な減産である。また、三重県では最高値がいつも付く和具では上天においては昨年3,370kgに今年は803kgと、これまた少なくなっている。代わりに和具の拾い草では昨年1,921kg、今年が6,780kgであった。
 総量では、三重紀州の地域が増産になり昨年の49トンに対し今年は66トンである。
 倉庫内では天草が山と積まれ、品種ごとに検品をしたいところが足をふみいれる通路もない有様である。天草の山を山越えしながら、品物を吟味していくことになった。
 出席者は今年から1社増え、都合10社である。
 数量が多いので、途中で相場がだれるのではという懸念というか、期待というか複雑な心境で入札に望む。
 三重県では1品ごとに落札者と落札価格を発表して、札入れが進んでいく。
 当初、想定外の高値をつける業者もあらわれ波乱含みで進んでいく。和具は比較的納得価格で落札ができ、後半に入っていく。
 いよいよ最大の大口の海野漁協11,100kg口に入っていく。大口のこと故、切り札がこの場合認められ100本単位での札入れも可能であるが、当方では狙い目でもあり1口でいくことに決める。やや付着物もあるが総体での判断は上と見て、目の前にある入札入力装置のテンキーを叩く。各社、思いを込めた札が入り、「ピン、ポーン。」とチャイムが鳴り、入札締め切り。
 場立ちの漁連のY氏が一声「ウリマーッス。」「○○○○○円、森田商店!」
 思惑通り落札でき、後は流れに乗って進んでいく。
 終わってみれば相場はだれるどころか最後は跳ね上がって終了した。昨年比、率にして平均20%程の値上がりであった。
 来週は城ヶ島漁協(神奈川県)が控えている。

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09 2006/07/11 神奈川県城ヶ島漁協第1回入札会

 城ヶ島の入札会は昨年7月29日であったが、今年は20日近く早く、しかも数量も89本2,970kg(昨年は81本2,430kg)と多く出た。
 いつものように、三崎口12時45分発城ヶ島行きのバスに乗って向かう。終点ひとつ前の観光船発着所の停留所で降り、港の中を漁協まで歩いていく。途中、今日採ったばかりのてんぐさを乾しているのを観る。すると、今日の入札であらかじめ当方の手元に届いているてんぐさより太めの草が並んでいる。てんぐさは、太めで枝が密に茂っている、草が丸味を帯びている、というのが良いとされている。今採取しているのはそれにかなっている。(写真参照)
 いつもの生産者が3人、港にいて、会話を交わす。昨年はてんぐさブームでお互い良かったこと、値段が良ければ海の中には草はあるんだからどんどん採るということ、そんなことを話しながら「今日の入札も高値を期待しているよ。」と言われながら組合に入る。
 今日の出席者は当社の他にS社、後はFAX入札が4社、都合6社で午後2時に札締め、開票された。結果は昨年とほぼ似た価格で落札された。
 今年の特徴となってきた産地、品質での上下格差の値段差が縮まってきているのがここでも現れている。

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10 2006/07/21 東京都第3回入札会

主 催:東京都漁業共同組合連合会
会 場:東京都漁連水産物流センター
参加社:9社
 本入札会はここ数日の豪雨の為、木曜日に実施される予定が延期され金曜日に実施された。
 出品量は例年並で524本(15,686kg)であり、岡田、元町、野増、波浮、新島、若郷、坪田から出品されていた。例年より出品量が増加していたのは、新島,若郷,坪田であったが、中でも新島,若郷に関しては昨年度よりも増加していた。一方で、式根島からの出品はなかった。また「毛草」は若干減少していたが、「荒め」は例年通りであった。
 この時期は入札の最盛期であり、業者は活発に動かなければならないが、今年度は天候不順の為、売上があまり伸びておらず、あまり天草自体は動いていない。この為、昨年ほどの相場高騰はないだろうと予想され、実際、例年通りの相場で落ち着いた。今後もこの調子で展開していくと考えられた。

(文責/森田尚宏)

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11 2006/07/26 静岡県第3回入札会

 先週の東京都伊豆七島に続いて伊豆半島の入札会が下田市で開かれた。入札会場に入る前に東浜の主産地である稲取漁協と下田市須崎漁協を廻る。
 稲取漁協では台風の影響と思われる波が大きく寄せていて船が出せない。また、ここ2週間は梅雨でこれまた漁に不向きで、結局7月は出漁日、無しということであった。天草倉庫の中には品物がなくてガラーンとしている(写真)。
 次の須崎漁協でも同様で7月の出漁日はゼロ、今までで生草重量で5,000kgの減産ということである。乾燥歩留まりは25%であるので製品本数では50本減である。
 天草の採取口開けは昨年の4月11日が今年は5月11日で一ヶ月遅れであるが、昨年の高値に刺激され採取業者が50人から70人に増えたことなどが支所長さんから聞く。なかには銀行を早期退職した人も天草採りに加わっていて、「自然の中での仕事で更にマイペースで楽しくやれてこんな良い仕事はほかにない。」と言っているようである。
 増産には高値価格が一番作用する典型である。ちなみに生産者の取り分は須崎地区では入札落札価格の75%、稲取地区では50%である。取り分割合の違いがあるのは改良仕事の費用持ち分、資材の持ち分違いによるものであるが、基本の落札価格が大きく影響することは間違いない。
 入札会場には今回、西海岸の土肥漁協、八木沢支所のさらし草が572本(採り草、より草の計)が出されている。総量では24トン(昨年は今の時期19トン)、と東浜は不作漁に対し、西伊豆では思いのほか集荷でき今日の結果、成り行きを観に漁協から4人ほどきていた。
 結果はさらし草の上物が下げ傾向にあり、価格の安いものはしっかり傾向になってきた。
 昨年の今頃は相場高騰の緒につき、以後の未曾有の状態になったことを思えば、ようやく平常にもどりつつ安心できる様子になってきた。但し低価格のものが大きく上昇したままであり、まだ予断を許さない。
 明日は和歌山県の第2回である。

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12 2006/07/27 和歌山県第2回入札会

 昨日の伊豆に引き続いて、今日は和歌山市での第2回入札会である。
 和歌山の第1回は大阪市の海苔問屋組合でおこなわれるが、昨年から第2回目は和歌山市の和歌山県水産会館で開催されるようになった。
 今回は串本地区から広範囲にわたり出されていて、雨続きの中、良く収穫したものだと感心する。見本が各浜から寄せられていて、実際の荷造りは未だの組合がほとんどである。
 例年のごとく予定数量、集荷数量での入札であり、引取までに荷造りして数量を確定していくことになる。
 今回は特徴的なことでいえば、ドラクサ系が多く出されていて、このクサは各地区で呼び名が違っているのがおもしろいところである。
 いずれも寒天ゼリー強度が高く、寒天の製造には欠かせないという業者もいるほどである。
 ちなみに和歌山県の太地漁協のシバクサ、浦神漁協のジャンギリ、上野漁協の夏草、そして田並漁協、和深漁協、すさみ漁協のマクサはすべてこのドラクサが主である。
 他県へいけば愛媛県の日振漁協の地草、戸島漁協の石草、三重県の三木浦の松草、長崎県の男天、高知県のサル、静岡県伊豆地区のワタクサもいずれも同系のドラクサであり、ゼリー強度は800gc程度ある。通常のマクサでは500gcくらいである。
 また、同じドラクサといわれる草のなかでも強度が200gc程度のヒラクサ系にちかいドラクサもあり、注意が必要である。
 太地漁協には芝草(シバクサ)と小平(コビラ)と出ている。小平はややヒラクサ系であるがそこそこに強度はあるので、判断するに難しいところがある(写真)。
 予定どおり狙いのドラクサを落札することができ、まずは今冬の寒天製造の品質面では安心である。

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13 2006/08/02 長崎県入札会

 月が変わって長崎県の入札会がおこなわれた。
 一昨年6トン、昨年9トンに対し今年は14トン弱と増えている。今までの高価格と、天候状態の良さ、長雨ではあったが晴れ間もあった梅雨、それに大きな台風接近がなかったのが増産につながったと思われる。
 昨年はここで思いがけない値、前年の約2倍の値がついたのが発端で急上昇のエレベーターに乗ったことは記憶に新しい。今年の成り行きが注目された。
 例年の出席者でおこなわれ、結果は通常思う値よりは高値で落札された。
 全国の天草状況、落ち着いてきた様子が各地に全てゆきわたっているとは限らないのが立証された入札会であった。
 このあたりを自分の札値にいかに反応させるか、どうしても欲しい荷物かどうか、その判断により入値を決定してすすんでいかなければならない。

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14 2006/08/04 三重県第2回入札会

 一昨日の長崎に続いて今日は三重の第2回入札会である。
 昨年の15トンに対し今年は23トンと、ここも増産である。
 第1回に続いてやはり三重紀州産、東牟婁郡産のものが多い。今までの鳥羽地区や志摩地区、先志摩半島ものが極端に激減してしまっている。出品量から判断して国崎、甲賀、大王船越などは1〜2人が1日操業したような数量、100kg〜300kg程度でまことに寂しいかぎりである。
 また、例年第2回に間に合う浜島産についても出品が無い有様である。
 ともかく総出品数量は多いので、買う側の商社筋からは景気のいい話はでてこない。第1回は予想より1割ほど高かったので今回はどの商社も慎重である。
 また、前回までの引取前のものが倉庫内にあり、今回の品と混在して倉庫に並んでいて、大汗をかきながらの検品仕事である。
 別室に見本のてんぐさを並べているので、それをみるのも参考になる。(写真)
 ここでは浜産地の相互比較ができるので、そのあたりもメリットがある。
 都合23トンのうち、当社が11トンほど落札でき、相場の安定が印象づけられた。
 昨年から今年の前半までのブーム状態はこれで終了して、浜では平常に戻りつつあるのが確認できた。
 製品の消費流通市場では寒天の製造、および晒加工は1年遅れになるので相場は来年においてはまだ戻りきらないが、高い物はやや求め易くなってきた。その反面、低価格の物は上昇後、高値維持されてくる傾向にある。

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15 2006/08/10 静岡県第4回入札会

 予定では8月9日であったが、台風7号が本州中央部に接近、8号、9号も台湾近辺に渦を巻いていて、急遽、警戒体制をとる状態になった。結局、9日朝、電話がはいり1日延期の10日に開催されることになった。
 今4回は予定外の飛び入り開催であり、主な組合は西伊豆町の仁科浜産である。
 東浜は、前回入札会前に浜周りしたときもほとんど水揚げされてなく減産模様であるが、西海岸では予想以上に天草が浜から水揚げされ、その対応におおわらわという情報が流れてくる。
 三重県のあとでもあり、FAXで札入れをする。都合出席4社、FAX6社、計10社の応札であった。
 注目の仁科浜漁協のものの札の結果が知りたいところである。
 東浜の稲取地区は少ないなりにも全量当社にて落札できた。
 また、仁科浜は予想通りの札が各社入り、その内1社が落札したものの、生産者である組合の希望価格に達せず、以後話し合いで決めることになった。
 ブームから落ち着き平常に戻るまでには、買う側、売る側、生産者、入札参加商社、需要側のてんぐさ使用製造者のそれぞれにタイムラグがあり、調整されるには1年から2年ほど時間がかかると思われる。
 ただ、三つ巴台風が来たように、今後は台風シーズンでもあり、海況は悪くなる傾向にあり、いままで水揚げされていない地区、伊豆東浜などは今後の数量不足が気になるところである。
 実際、台風7号で生えていた天草が流されてしまっている報告もきているので、このまま楽観視ばかりしてはいられない。

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16 2006/08/17 東京都第4回入札会

 お盆明けすぐの入札会である。お盆休みをはさんでいるので集荷量がどの程度になるのか心配したが、388本とまずまず開催できる本数となった。
 大島が主となり、岡田、波浮港、元町など、どんな価格がつくか興味深いところがあった。
 岡田天赤133本口がズラーッと並んでいて壮観である(写真)。天草の山のうち、早い時期から並んでいるものは、空気の湿気と間接光で同じ赤草でもややピンクがかってくる。見た目は非常に良くみえ、事実早い時期に採ったものだから評価を高めても当然である。が、最後の山なるとごく最近に荷造りしたものも見受けられ、こちらは赤茶色になっている。
 総荷をみて判断することが大切である。
 各浜とも、総体にはまだまだ草質も上々である。
 また、三宅島の天晒あらめには1等上と1等の品がでていて、明らかに晒上がりに差があるのがわかる。以前は1等上については特等表示であり、需要家にもそれが浸透しているので、漁連、組合に表示を特等にするよう提案する。
 また、前回の入札会で組合の希望価格に達しなかったのが一部生じたので、その点をふまえ、入札会発表前に、そうしたケースに対し今後の方針を確認する意見交換が、漁連、買付商社側からそれぞれあった。
 昨年の2倍から3倍近くに高騰したこと、今年のその是正価格となる市場での各入札会での結果など、めまぐるしい動きとなるとその対応に腐心せざるを得ない。
 生産者、流通業者、製造者と品が流れていく段階で、いずれ時間が解決してくれることになる。
 今回の結果は予想通りの落ちついた価格でおさまった。
 この後、8月には29日に徳島県の第2回、30日に高知県の第1回が控えている。その後は9月に愛媛県の第2回が予定されていて、ぼちぼち終盤に近づきつつある。

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17 2006/08/29 徳島県第2回入札会

 徳島の第2回目である。数量は52トンで第1回との計は92トンとなった。これは昨年の98トンと並びこの5年の間では多い方となった。一昨年は51トンであった。
 写真では、久しぶりに倉庫内いっぱいに天草が並んでいるのがわかる。乾燥はひとつの組合をのぞき上々であり、草質もOKである。
 今年の天候を思うに、後半長く梅雨が続いたものの台風などはほとんど日本に近づいていなく、又、てんぐさの採取操業を妨げる海上のおおきなうねりも比較的少なかった。さらに当初スタート時点での高値に刺激され、採取意欲も旺盛、採取人数も増えている浜が多くなったと聞く。一方、消費の方は昨年のブームも落ち着き寒天、ところてん共に潤沢に出回っている。
 そんな中での入札で、落ち着いた結果が予想されていた。出席者も7社であり、各社ともそれぞれ希望のものを落札できていた。その内当社も45%、24トン弱ほど落札することができた。
 結果発表もそこそこに徳島駅へタクシーを走らせ、明日の高知県の第1回入札に向かう。向かうは当社2人にいつもの天草問屋仲間2社に全漁連の担当者である。
 午後4時半ごろに高知に着く。

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18 2006/08/30 高知県第1回入札会

 昨日、夕方高知に到着。駅に降り立つとドカッとした高知特有の熱気が体を包む。
 夕方遅く激しく雷雨。傘をさして歩けばズボンの裾はおろか、上着も降りしきる雨で濡れネズミ状態、テレビでは高知市内一部に落雷とおもわれる停電があったと報道されていた。
 当日の入札出品量は、ここも8トン弱が16トンほどと約2倍の数量である。
 昨年は、ちょうど今頃高値の絶頂に入りつつあって、例年の2倍ほどの値段がついた。今年はと見れば、その後9月にある愛媛の第2回も、昨年より多くでる予想が廻っていて、慎重な対応が必要とされる。
 昨日の徳島の価格をおおいに参考にしつつ、札入れとなる。応札商社メンバーもほぼ毎年固定していて、地元高知1社、徳島1社、関西1社、東海2社、東京1社合わせて6社である。これだけのメンバーだと、ほぼ各社の狙い品は予測できるようであるが、またそうでもない場合もありで、ここに入札のおもしろさ、難しさがある。
 写真では、大口の室戸岬東漁協の高岡、椎名、三津漁協とならぶ。一方、高知県の西半分にあたる幡多郡の方は数量も少なく、全量、見付けの広場に並んでいる。
 高知は最初の入札であり、基本的に品質が良とされる春草が多く、その点を考慮してか昨日の徳島相場よりややしっかりしたものになった。

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19 2006/09/01 神奈川県城ヶ島漁協第2回入札会

 昨年の第二回入札会は10月6日であった。出品数としては75本2250kgで、例年より若干多めであった。
 城ヶ島漁協組合を先に見ながら漁港内を歩いていき(写真)、入札前は入値決定の為、再度天草を倉庫で確認した。出品される外天はアラメが主であるが、若干量マクサも混入している。現場で確認した結果、送付された見本よりも若干マクサが多かったが、全体的に太めで枝が密に繁っており、良い草と判断された。又、外天青は青草が混入する天草であるが、混入している量は若干量であり状態は良かった。以上より、出品される天草は総じて良い天草と判断された。
 入札業者は6社、うちFAX入札は4社で実施され、当社が落札した。

(文責/森田尚宏)

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20 2006/09/08 愛媛県第2回入札会

 愛媛2回目の入札会がおこなわれた。今回の出品数量は59トンと、昨年同期の32トンを大きく上回った。これで愛媛県の今年の生産量は231トンとなった。(昨年は187トン)
 8月の後半からの他県での入札会では、軒並み相場が下げに入っている状態で、今回は量も多くその成り行きが注目されている。出席商社は7社、例年並みである。
 いままで高値相場続いてきたので、まだ充分買い込んでいない業者もある話が流れる一方、相場の流れについて買い進んできたので、倉庫が満杯状態の業者も結構あるようにも聞く。
 愛媛県では第1回の品と第2回の品とでは品質差がかなりある組合もあるので、丹念に見本のてんぐさを見る。
 第1回には晒てんぐさが非常に高値値段がついた影響で、今回も晒てんぐさも2500kg以上出ている。 生産者で中島漁協組合のN組合長さんも来ていたので、需要家側からの要望も出しておく。
 晒工程途中での雨にあたったりしたものは色つやが落ちるが、それは別途別けて出品してあることを聞く。そうした組合のものはと安心できるので、買付け価格も上値が指せる。
 結果は下げには入ったものの、意外と買い意欲も旺盛でそこそこの値が付いた。晒てんぐさには特にその傾向がみられた。

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21 2006/09/13 静岡県第6回入札会

 第5回は中止となり、ひとつ飛んで第6回がおこなわれた。
 今回、土肥漁協小下田支所分が加わり28トンを超える数量となり、今の時期、市場には供給過剰気味の感がある。
 一体に、伊豆西海岸は豊作で、生産量もかなりの数量になっていると推測される。
 いつもの様に下田の入札会場に入る前に東伊豆町の稲取漁協の倉庫によって、今日、出品されるてんぐさの現物を確認する。
 ところが、組合倉庫のてんぐバラ置き場に入れば、荷造り完了以外のものは皆無で(写真)ガランとしている。
 唯一、倉庫内に梱包されたてんぐさが少量あるだけである。
 海の中にはまだ少しはあるようであるが、海中の視界が悪く採取ができにくいと組合の担当者の話である。
 他の須崎、白浜も同じような状態と聞く。
 下田の入札会場につけば、土肥漁協小下田支所の見本がところ狭しと並んで、やはり業者同士が安値牽制をしている。
 応札業者数はいつもより2社少なく、こんなところでも相場を模様眺めする雰囲気がわかる。
 定刻5分前であるが早めに札の締め切りとなり、つぎつぎと開票、口頭発表がおこなわれ、76品目が途中一回の休憩をはさみ、てきぱきと処理されいつもの時間に終了した。
 4本、無札があったがそれは次回に繰り越し決定された。
 終わってみれば「もうちょっと買いたかった。」「意外に安く、値打ちに買えた。」などといつもと同じ会話が交わされていた。
 応札者の基準がそれぞれ異なっているので、札の結果について様々な感想がでる。
 次週予定の伊豆七島、東京都の入札は延期で最終回と合わせて行うようである。
 てんぐさ買付も終盤に近づいてきた。

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22 2006/10/04 静岡県第7回入札会

 第7回の入札会がおこなわれた。9月13日以降久しぶりの入札会である。
 今回は八木沢草の出品が多く、総計では1916本47,640kgとなり口数は119口となった。いつもは県漁連賀茂出張所でおこなうのであるが、見本のてんぐさを展示する場所確保のため、下田市漁協の2階の大部屋でおこなう案内が前からでていた。また、開催時刻を30分繰り上げてスタートする。
 写真では、所狭しとてんぐさの見本が並んでいるのが見てとれる。見本を見て札値を勘案していくのにも、なにしろ数がおおいので時間がかかる。それでもなんとか119口の見本をみて、札値をつくりあげる。
 安値札が入る雰囲気が入札場に蔓延しているが、こういうときは意外とそうでもない結果になる場合もあり、注意を要する。応札者はいつものように9社11本入った。
 ここで、土肥漁協のいままでの出品量を昨年と比較してみる。昨年は八木沢支所で採り草1015本、より草836本の計1851本。小下田支所では採り草、より草合わせて867本。土肥漁協合計では2718本(入札上場数)となっている。一方、今年は今までに八木沢支所で採り草681本、より草1145本の計1826本。小下田支所で採り草、より草合わせて1314本。漁協合計では3140本となっている。小下田支所についてみれば、昨年の1.5倍ほどになっている。まだ未出品分がかなりある話が伝わっているが、小下田の割合を勘案すれば、土肥漁協全体では主に八木沢草を中心として、1000本弱の荷物の残っていることになる。いきおいここで買いにでる業者と模様眺めの業者とがいて、札の強弱がでてくる。
 結果は予想どおり応札商社9社のうち、主に2社が多くの量を買付した。落札価格は、昨年の異常高値からようやく解き放たれた値で終始した。なお、土肥漁協八木沢以外の東浜の須崎産ものは数に限りがあり、しっかりした値で終わっている。

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23 2006/10/05 城ヶ島第3回入札会

 昨日に続いて神奈川県城ヶ島組合の入札会がおこなわれた。
 単価がいままでよかった影響で、今日、ここの最終回ではあるが43本1290kgほどの出品である。今年の合計は6224kg(昨年は4650kg、一昨年2450kg)になった。昨年来の高値、今年前半時の高値の影響が生産量増大につながっている。
 さらに大きな台風も本土に接近が少なく、海況もてんぐさ採取に好条件だったのも後押しした格好である。最終会の荷物としては、カキなど石灰藻の付着物も少なく良品であった。
 昨日の伊豆八木沢草の影響は、今日、あまりなく前回並みの価格で落札された。
 いよいよ終盤になりつつあり、伊豆で臨時差し込みがあり1回増え、これが10月18日、東京都が10月19日となっている。最終は伊豆の11月29日が予定されている。

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24 2006/10/18 静岡県第8回入札会

 静岡で臨時の入札会が行われた。つい2週間前に大口の47トンの入札があった後であり、あまり重要視されないようであるが、東浜の稲取漁協、下田市漁協の須崎支所では最終回になる。
 翌日に伊豆七島の東京都第5回が控えているので、例年FAXで済ましているものの今回出向く事にする。入札前に須崎支所大間地区分を支所長さんの案内で見る。
 すべての改良作業の終了して、組合倉庫は鍵がかかっているのをあけてもらう。
 きれいに片付いていて梱包されたてんぐさが並んでいる。(写真)
 西浜の土肥漁協八木沢、小下田、仁科浜漁協が豊作であるのに対して東浜は昨年より2割減産になっている。須崎支所長さんの話によれば、てんぐさ漁の時期に雨などが多く結果出漁日数が減ったのが原因である。稲取地区でも水が濁っていて思うように採取が進まなかったことを聞いている。
 入札場につけば出席人数は4人と少なく、残りFAXが4社入るのみであった。
 須崎組合大間支所の春草が値打ちな価格での落札なった。今の秋に春草が出るのは組合倉庫で春、最初に採った草が一番下積みなっていて最後に改良するためで往々にしてあることである。
 明日は東京都の最終入札会、晒草が大量にでる予定で成り行きが注目される。

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25 2006/10/19 東京都第5回入札会

 東京都最終回の入札会である。
 今年は最終回に887本26トンからの出品である。昨年が109本、一昨年が479本であるから如何に多いか判る。合計では今年の2968本に対し昨年が3164本であるからさほどでもないのであるが、ところてん用の販売時期が過ぎてからの出であるので一気に弱気配になる。また、内訳が晒本数では今年は1094本(天晒、天晒荒)、昨年779本(天晒、天晒荒)と多くなっている。(写真)晒の方が価格が高い上、仕事にもなるので勢い生産業者としては有利なものを選択していくのは道理である。が、思惑どおりには事は運ばないのが常である。今年のところてんの売れ行きは昨年のブームから一変しており、さらに売れ時期の夏場に雨が多く消費が減退ぎみであり、問屋にも高値のてんぐさが多く残ってしまっている。
 弱気配を察して入札主体の漁連側から異例にも各品目について浜の生産者の期待に反して安値札になった場合は来年に持ち越す旨、いわゆる販売中止の止め札制があることが告げられる。一部止め札は過去にあったことはあるが全量、しかも事前の告げられることはまず記憶に無い。
 入札会前に浜の生産者も伊豆大島、新島から10人ほどやって来て結果を見守るなか開始される。
 結果は止め札にかかったのは42品目の内、2品目の一部であり、漁連、浜の生産者、買付業者も一応の安堵した顔をみることができた。
 しかし昨年の夏から秋にかけての急騰、今年8月以後のブームの冷え込みとめまぐるしい展開であった。今年は前半、中盤と高く終盤での下げであるので昨年より安くはなったものの、平均ではまだまだ高くはなっている。また、海外品についていえば昨年をはるかに上回る価格で日本に輸入されている。
 ところてん、寒天の製造家、てんぐさの問屋といずれもこれから1年間、我慢のしどころである。
 残すところ11月29日に静岡県で仁科浜を中心とした入札会が行われる予定である。

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26 2006/11/06 平成18年てんぐさ概況

 全国のてんぐさ入札(生産)量

平成18年は入札数量、平成17年以前は生産数量(入札数量+入札外数量)です。

産地\年 平成18年 平成17年 平成16年 平成15年 平成14年
東京都 132 115 94 72 67
静岡県 ※ 184 180 142 106 202
三重県 100 66 54 65 27
和歌山県 47 42 29 27 27
徳島県 93 97 51 36 71
愛媛県 231 189 130 99 132
高知県 15 8 7 6 5
長崎県 14 24 7 19 18
上記産地計 816 721 514 430 549
全国生産量 集計中 843 605 537 658

※ 予定を含む

(単位:トン)株式会社 森田商店 調べ 2006/11/5

 今年は昨年の反動があり、ところてん、寒天製造業者、てんぐさ扱い問屋、さらに浜のてんぐさ生産者と各自それぞれ対応に苦慮した、また、今なお苦労している状態となった。
 平成17年は、前年の2倍から3倍近くの需要があり販売実績もできたのであるが、平成18年になると結果的には前年の60から70%程度に落ち込んだようである。
 ところてんの製造業者には、大手といわれるところほど設備を増強したところもあり、販売増を期待したのであるが、実勢の稼働率は予想を下まわる結果となった。
 それでも平成16年よりは推定で50%ほど多く需要が増えたと思われ、これは一連のブームの遺産ともいえる。
 原料のてんぐさ状況については、高くなった国産物は敬遠され外国産の需要が高まったといえる。もっとも平成18年春時点では、H17年産の国産物の数量不足もあり、補充の意味もあり外国産が注目されていた。
 一方、国内の浜での生産者である漁業者は、昨年同様の高値期待から4月から5月の採取開始にさいし、増産に励んだ。
 海外からは、日本では今なお(H18年春)てんぐさ需要が高いと見て、今までの輸入者以外の関連業者、わかめ、ひじき等の業者が買付に走り、入荷は増え、さらに価格は上昇する一方であった。供給は多く、需要はブームから遠のき、さらに7月の天候の悪さが追い打ちをかけ期待に反する結果となった。
 国産てんぐさは、概算計(予想)で約950トン、昨年の10%増になったと推定される。価格は前半から中盤にかけては昨年よりは高く、8月以降下落に転ずる波乱の1年であった。
 輸入てんぐさについては、数量は今年の9月で3,517トン、昨年の同時期2,745トン、128%となり平成17年の年間数量3,752トンに近づいている。
 価格においては、中国で179%(H18年1月〜9月の平均価格/H17年年間平均価格;以下同じ)、韓国で164%、モロッコで157%と大幅に上がっている。
 ところてん製造業者のうち、国産主体の原料でおこなっているところは、H18年よりH19年はコストダウンになるが、外国産主体で原料手当していたところは、逆にコストアップにつながる傾向にある。
 又、多くの寒天製造業者にとっては、国内入札相場が高い中盤までに原料を手当したのと、高騰した外国産の影響で、50%以上の原料コストアップになる。
 いずれにしろ、H19年は関連業者にとって辛抱の一年となると思われる。
 なお、てんぐさ生産量の最終集計はH19年5月に報告予定である。
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